シカやイノシシによる農作物の被害額“155億円”…厚生労働省がおこなう「ジビエ」普及に向けた取り組みとは?

青木源太と足立梨花がパーソナリティをつとめ、暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていくTOKYO FMのラジオ番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」(毎週日曜 7:30~7:55)。11月5日(日)の放送では、農林水産省 農村振興局 農村政策部 鳥獣対策・農村環境課長の藤河正英(ふじかわ・まさひで)さんを迎えて、「食べて使って笑顔になって! ジビエの魅力」をテーマに話を伺いました。

(左から)青木源太、藤河正英さん、足立梨花

◆年々変化している、ジビエを取り巻く環境

“ジビエ”とは、シカ、イノシシ、クマ、カモ、キジ、ウサギなど、狩猟で得た天然の野生鳥獣の食肉、または、その食肉を使った料理のことです。狩猟が盛んなフランスでは、シカやウサギ、カモなどの食肉を使った料理が文化として定着しています。

また現在は、ひと昔前と比べてジビエを取り巻く環境は変わってきており、「まず大前提として知っておいていただきたいのは、近年は地球温暖化による暖冬、ハンターの高齢化など、さまざまな要因で生息域が広がっており、農作物にも被害が発生しています」と藤河さん。

主にシカやイノシシによって農作物が荒らされ、2021年度の被害額は155億円にも及びます。そして、手塩にかけて育てた農作物が被害に遭ってしまうと、農業を続けることが困難になり、農業をやめてしまう方もいます。

さらには、シカなどに森林の下草が食べ尽くされて土壌が流出してしまったり、車と衝突したり、町に迷い込んで人にケガをさせるなど、鳥獣被害は人間社会にさまざまな影響を及ぼしています。

こうした背景もあり、近年では被害防止などを目的にシカやイノシシの捕獲を進めていて、捕獲頭数は年々増加しています。2022年度に捕獲したイノシシとシカは合わせて131万頭です。

しかし、ハンターの方が自分で食べるぶんを除くと、食肉として利用される割合は1割程度とそれほど高くありません。それ以外は、埋めたり、焼却をしなければならず、その労力や処理費用が捕獲者や自治体の負担になっています。そこで、そうした野生鳥獣を人間に被害をもたらす“害獣”として処分するのではなく、地域の有用な資源として活用し、さらに地域活性化にもつなげようという取り組みが進んでいます。

藤河さんによると、地元のレストランでジビエを使った新しいメニューを開発して提供したり、ソーセージやハンバーグに加工して、道の駅やネットショッピングで販売する事業者が増えているそうです。また、ジビエの処理施設は食品衛生法の許可を受けているため、「そこから出荷された肉であれば、加熱すれば安全に食べることができます」と説明します。

野生鳥獣肉の衛生管理に関しては、2014年に厚生労働省がガイドラインを設けており、農林水産省は、このガイドラインなどを遵守しているジビエ処理施設を認証する「国産ジビエ認証制度」を2018年に設け、安全・安心なジビエの普及を進めています。

◆サイトを活用してジビエを楽しもう

2024年2月29日(木)まで、ジビエの特設サイト「全国ジビエフェア」が展開しています。同サイトでは、フランス料理、ファーストフード、和食など、さまざまなジャンルのジビエ料理が食べられる飲食店や、革製品、ペットフードが買えるお店を紹介しており、10月26日(木)時点で1,000店舗以上が参加しています。

ジビエを食材として利用することや皮革などを無駄なく活用することは、食料確保、廃棄物の削減につながり、SDGs(持続可能な開発目標)に貢献することにもなります。また、ジビエは食肉としてとても優秀で、例えば、シカ肉は牛肉と比べてカロリーが半分以下なのに、タンパク質、鉄分、ビタミンが豊富で、イノシシ肉は豚肉と比べて鉄分が4倍、ビタミンB12は3倍も多いのが特徴です。

さらに、今ではソーセージやハンバーグだけでなく、さまざまな加工品があり、家庭で調理するための食肉をネットショッピングで手軽に購入することができるほか、ふるさと納税の対象になっているジビエの食肉や加工品もあります。

なお、ジビエのポータルサイト「ジビエト」では、ジビエに関する基本的な情報から「ジビエを楽しむ旅」など、魅力あるコンテンツを動画などでも紹介しているほか、「イベント」という項目では、全国で開催されているジビエイベントの紹介も掲載されています。

改めて藤河さんは、「これから狩猟シーズンが本格化するので、全国さまざまな場所でジビエイベントが開催されます。ぜひ検索してみてください」と呼びかけました。

足立は、今回のテーマを通して「私たちが食べるぶんだけじゃなくて、革製品やペットフード、ペット用品まであることにビックリでした。ジビエはいろいろな使い方、楽しみ方があるんだなと思いました」と感想を述べます。

一方、“筋トレ好き”の青木は、ジビエが高タンパク、低カロリーである点に着目。「(ジビエは)健康にもいいし、理想的な食材。また、足立さんが挙げていた革製品やペットフードなどもそうですし、(ジビエを食べるだけでなく)無駄なく活用することは、結果的にSDGsに貢献することになりますよね」と話していました。

(左から)青木源太、足立梨花

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11月5日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)聴取期限 2023年11月13日(月) AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:青木源太・足立梨花 Sunday Collection
放送日時:毎週日曜 7:30~7:55
パーソナリティ:青木源太、足立梨花
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/collection/

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