【MLB】パドレスが先発ローテ候補を次々放出 狙いは年俸削減か?

写真:FAになることが報道されたパドレスのマルティネス

来季のパドレスは、今季とまったく違う先発ローテーションでシーズン開幕を迎えることになりそうだ。

現地時間の11月4日、パドレスは球団側に選択権があったニック・マルティネスとの来季契約を破棄することが報じられた。地元紙「The San Diego Union-Tribune 」のケビン・エイシー記者が報じた。

パドレスはその2日前にエースのブレイク・スネルに加えセス・ルーゴ、がFAになることを発表。さらにスポーツ専門メディア「The Athletic」のデニス・リン記者が11月4日(現地)、自身のXで、パドレスがマイケル・ワカの来季以降の契約を破棄したことを報じた。

これがいかに大きな問題なのか、以下に示した今季のパドレスにおける投球回上位を見ると事態の深刻さが見えてくる。

ブレイク・スネル 180イニング(32先発)→FA
セス・ルーゴ 146.1イニング(26先発)→FA
ダルビッシュ有 136.1イニング(24先発)
マイケル・ワカ 134.1イニング(24先発)→契約破棄
ニック・マルティネス 110.1イニング(9先発)→契約破棄
ジョー・マスグローブ 97.1イニング(17先発)

先発ローテーションを主に担っていた6人のうち4人が退団することとなってしまったのだ。スネルとルーゴはともかく、ワカとマルティネスは球団が選択権があったにも関わらず破棄したという点も含めてかなり異常な状況だ。

パドレスのフロントが下したこの選択と、チーム年俸を圧縮する必要性が関連していることはほぼ間違いない事実だ。

パドレスは今季2億5000万ドルにもなったチーム年俸を2億ドルまで圧縮する方針であるという報道がすでに出ている。

また、「The Athletic」のケン・ローゼンタール記者らによれば、パドレスは来季の年俸支払いのため金融機関から5000万ドルの融資を受けていること、本来は1億ドルの融資が受けられたにも関わらずMLBからストップがかかったことで融資額が5000万ドルに減らされたという報道もあった。

MLBの契約情報サイト「MLB Trade Rumors」のレオ・モーゲンスタイン記者は、この動きが「The Athletic」の一部記者が指摘するように、他球団のオーナーやロブ・マンフレッドコミッショナーがパドレスが支払い能力を超えた負債を背負っているのではないかと考えていることを示唆していると指摘している。

つまるところ、現在のパドレスは球団の規模に比してチーム年俸がふくらみすぎた結果、年俸を払うための融資も受けにくい状態になっているのだ。何としても来季のチーム年俸を削減しなければならないとフロントが考えるのは至極当然に思われる。

一連の先発投手放出の結果、パドレスの来季推定年俸は現状約1億8600万ドル(Spotrac.comより)。ひとまず目標ラインを下回ることができている。

しかし、当然ながらこれで満足するわけにはいかない。上で述べた4人だけでも約40%にあたる約550イニング、ほかのFA投手を合わせれば約半分にもなる投球回の穴をマイナー組織からの突き上げで埋めることはほぼ不可能。何人かの先発投手補強は不可欠だからだ。

来季の予算に関する報道を信じるならば、現状パドレスに残された年俸の余裕はわずか1400万ドル。平均的な先発投手1人と契約するにも心許ない金額だ。さらに大きな年俸カット(それこそ噂されているフアン・ソトの放出のような)をしなければ、来季チームは先発ローテーションを維持できなくなってしまう可能性すらある。

とはいえ、フェルナンド・タティスJr.やマニー・マチャドらスターに対する超巨大契約を削減することはかなり難しいだけに現状パドレスが取れる選択肢はかなり少ない。相手側に年俸を負担してもらうなどしてトレードで安く先発投手を手に入れる、あるいは主力野手を放出してさらに年俸を削減するなどややリスキーな手も考慮する必要がありそうだ。

これまで大胆な動きを見せることが多かったAJ・プレラーGM。この窮地を脱するためにどのような手を打ってくるかに注目したい。

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