埋め立て予定地で土砂崩れ 茨城・日立の産廃最終処分場 反対団体発表、県は反論

産業廃棄物最終処分場のイメージ図(県提供)

茨城県関与の新たな産業廃棄物最終処分場を同県日立市の鉱山跡地に整備する計画を巡り、建設に反対する市民団体は6日、台風13号に伴う9月の大雨後に現地調査した結果、埋め立て予定地で土砂崩れが起きていたと発表した。洪水発生の危険性を改めて主張し、計画の見直しや中止を訴えた。県は「盛り土が流されただけで、洪水が起きたとは考えていない」と反論した。

この市民団体は「県産業廃棄物最終処分場建設に反対する連絡会」(荒川照明共同代表)。同市では9月8日の大雨で1時間降水量が観測史上最多の93ミリを記録。会のメンバーは大雨後に現地を調査し、同30日には上空から被災の有無を撮影した。

調査結果によると、建設予定地は沢がある谷間に位置しており、土砂崩れは埋め立て予定のくぼ地(湖)へ向かう道路付近で発生。大雨の影響で洪水が発生し、くぼ地の斜面が推定で最大長さ約80メートル、幅約30メートル、深さ約7メートルにわたり崩れたとした。

同会の鈴木鐸士さんは「被害は甚大で、洪水の発生を予想して危険だと主張してきたことが実証された」と主張。防災ダムの役割を果たしている湖を埋め立てれば、近くを流れる鮎川が豪雨時に氾濫する恐れがあると訴えた。

その上で同会は洪水対策として、県が計画している防災調整池の容量見直しなどを主張。今回の調査結果を踏まえ、近く県に公開質問状を提出する。

一方、県は取材に「盛り土で成形された場所の一部が大雨で洗い流され、高低差の影響で湖(埋め立て地)に落ちただけ。敷地外に流出したわけでもない」と説明、建設計画に影響はないとした。

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