【MLB】大谷翔平ら7選手が提示を受けた約30億円の「クオリファイング・オファー」とは?

写真:大谷翔平ら7選手がクオリファイング・オファーの提示を受けた @Getty Images

11月6日(日本時間7日)、FA選手に対する独占交渉期間が終わり、大谷翔平ら7人の選手がクオリファイング・オファーの提示を受けたことが発表された。

提示を受けたのは大谷翔平(エンゼルス)、アーロン・ノラ(フィリーズ)、ブレイク・スネル(パドレス)、ジョシュ・ヘイダー(パドレス)、マット・チャップマン(ブルージェイズ)、コディ・ベリンジャー(カブス)、ソニー・グレイ(ツインズ)の7人。

クオリファイング・オファーとは、選手がFAになった際に元所属球団が補償のドラフト指名権を受け取るために必要な1年契約のオファー。その年の年俸上位125選手の平均額で算出され、今年は2032万5000ドル(約30億5000万円)と決まっている。このオファーはその年でも注目のFA選手にのみ提示されるが、過去に提示されたことがある選手やシーズン途中に移籍してきた選手には提示することができない。

拒否した選手が他球団と契約した場合、元所属球団は補償のドラフト指名権を得られるが、どの順位の指名権を得られるかはその球団の状況により4つのパターンがある。

最も低い指名権は「ぜいたく税対象球団」の場合で、4巡目終了後の指名権を得ることになる。今回の場合はフィリーズ、パドレス、ブルージェイズがそれに相当する。「収益分配を受けている球団」の場合は、FAとなった選手が5000万ドル以上の契約をしたかどうかで指名順位がかわる。5000万ドル以上の場合は1巡目と戦力均衡ラウンドAの間、5000万ドル未満の場合は戦力均衡ラウンドB(2巡目終了後)の直後の指名権を得られる。今回はツインズのみが収益分配を受けている球団だ。そして、「ぜいたく税対象でもなく収益分配を受けてもいない球団」は戦力均衡ラウンドBの直後の指名権となる。こちらは今回カブスが対象となっている。

エンゼルスは今季「ぜいたく税対象球団」となっている可能性が高いが、正式な発表はされていないので不明だ。ぜいたく税対象であれば、大谷が他球団と契約した場合に得られる指名権は4巡目直後と低くなってしまう。

また、クオリファイング・オファーは拒否した選手を獲得した球団に対してのペナルティも定められている。こちらも獲得球団がぜいたく税対象なのか、収益分配を受けているのかによって、ドラフト指名権や、国際FAのボーナスプールを失うといったペナルティを受ける。

クオリファイング・オファーの提示を受けた選手は、10日以内に受諾か拒否かを決めなければならない。毎年ほとんどの選手が拒否してFA市場に出ていくことになり、特に大谷のようなオフの目玉選手は拒否が既定路線となっている。なお、拒否しても元所属球団と再契約する可能性はあり、例えば昨年のアーロン・ジャッジはヤンキースからのクオリファイング・オファーを拒否してFA市場に出たが、その後9年3億6000万ドルで再契約しヤンキースに残留している。

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