映画「ガザ 素顔の日常」11月12日に山口市で上映 ガザ地区に暮らす人たちの日常を紹介

 中東・パレスチナでは、第一次世界大戦後から、ユダヤ人とアラブ人の対立が続いている。同地では、1948年のユダヤ人国家・イスラエル建国とそれを認めないアラブ諸国との4次にわたる中東戦争、第1次中東戦争のイスラエル側勝利による故郷を追われたパレスチナ難民(アラブ人)の大量発生とPLO(パレスチナ開放機構)による激しい抵抗(テロ活動)、ガザ地区とヨルダン川西岸地区におけるパレスチナ暫定自治区を認めた1993年のオスロ合意、パレスチナにおけるイスラム組織ハマス(イスラム抵抗運動)の台頭とイスラエルにおける強硬派・ネタニヤフ政権の出現による再度の対立とガザ地区への度重なる軍事侵攻、ヨルダン川西地区への長さ約360キロにも及ぶ「隔離壁」建設、といった歴史が積み重ねられてきた。そしてそれらを背景に、ガザ地区を実効支配するハマスが、10月7日にイスラエルに対して奇襲攻撃。それをきっかけに始まった大規模軍事衝突は、長期化・泥沼化する恐れも指摘されている。

 「山口でなかなか上映される機会のない良質な単館系新作映画を、自分たちの手で上映・観賞する」ことを目的に活動している「西京シネクラブ」は、「ガザ 素顔の日常」(2019年、アイルランド・カナダ・ドイツ)を、11月12日(日)に上映する。会場は山口市民会館小ホール(山口市中央2)で、上映時間は午前10時半、午後1時半、7時からの3回。

 地中海に面したガザ地区は、長さ約50キロ、幅5~8キロの狭く細長い形をしている。東京23区の6割ぐらいの面積に、約220万人が暮らす、世界で最も人口密度が高い場所の一つだ。その気候は温暖で、若者たちがサーフィンに興じるビーチには、老若男女が訪れる。その一方で、高い塀やフェンスで囲まれ、イスラエルによる人やモノの厳しい封鎖が続けられているため、「天井のない監獄」とも呼ばれる。このドキュメンタリー映画は、日々のニュースでは伝わってこない、ガザ地区に暮らす人たちの素顔を紹介している。

🄫Canada Productions Inc., Real Films Ltd.

 2回目の上映後には、ジャーナリストの志葉玲さんによるオンライン講演会も、約1時間開催される。志葉さんは1975年生まれ。番組制作会社を経て、2002年春から環境、平和、人権をテーマにフリーランスジャーナリストとしての活動を開始した。 2003年3月からのイラク戦争、2006年のレバノン戦争、2022年からのウクライナ侵攻など、紛争地取材を重ねている。2014年のガザ攻撃も取材した。

 チケットは、当日会場で販売。料金は、一般1800円、19歳から25歳まで1000円、18歳以下800円。電話予約(TEL083-928-2688)すれば、一般料金のみ1500円に割引される。

 同会の大久保雅子代表は、「イスラエルによるガザ地区への攻撃が続く中、ニュースでは死者数など『数』だけが伝えられている。この映画を見ると、『数』ではなく血の通った一人一人の人間が存在しているということを、改めて考えさせられる」と話し、鑑賞を呼び掛けている。

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