自然共生区域、茨城県内は5カ所 環境省が初認定 つくば・国環研 「市民へ発信」

自然共生サイトに認定された国立環境研究所の敷地=つくば市小野川

環境省は、企業や民間団体などの適切な管理により生物多様性が保全されている区域「自然共生サイト」として、茨城県つくば市小野川の国立環境研究所(国環研)など茨城県内5カ所を初めて認定した。認定地は国際データベースに登録され、「見える化」を通し環境保全を促進する。国環研の生物多様性領域の石浜史子研究主任は「市内の公園にも自然が多く残っているので、市民への情報発信で保全・回復したい」と話す。

今回初めて同省が認定した自然共生サイトは、35都道府県の122カ所。茨城県内では国環研のほか、つくばこどもの森保育園(同市沼崎)▽戸田建設筑波技術研究所(同市要)▽横浜ゴム茨城工場(小美玉市羽鳥西)▽所さんの目がテン!かがくの里(非公表)-の計5カ所。

国環研で自然共生サイトとして認定を受けたのは、敷地約25ヘクタールのうち約5.1ヘクタール。区域には江戸時代から続く雑木林が残存。在来植物320種、鳥類50種、昆虫403種が息づき、このうち絶滅危惧種9種も確認されるなど、生物多様性の高い環境が保たれている。国環研は管理面で、生育する種に応じて区域ごとに草刈りする「刈りすぎない草刈り」を実施。明るい林床を維持し、草むらの動植物が生きる環境を守っている。

国環研は認定を契機に、市内の他の研究機関などと連携して各敷地の緑地保全を進めたい考え。石浜研究員は「自然が残っている場所も放っておけば衰退するので、管理方法などの情報発信を行いたい」と意欲を示した。

政府は、2030年までに生物多様性の損失を止め、反転させる「ネイチャーポジティブ」の実現を掲げる。陸と海の30%以上を健全な生態系として保全するのが目標。現在、陸地の20.5%、海洋の13.3%が国立公園などとして保全されている。同省は本年度中に、第2弾の自然共生サイトの認定を予定し、26年度までに計500件程度を目指す。

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