「人一倍」って一倍じゃないのはなぜ? 今さら聞けないことを内緒でチェック!

今回は「人一倍」についてご紹介します!

「あの子は人一倍努力した」「人一倍寒がりだ」などのように使いますが、この場合、“他の人よりもたくさん”とか“他の人の2倍”などという意味合いがありますよね。

でも、一倍って「×1」をしても“同じ”だと思いませんか?

どうして、「人一倍」は一倍ではないのでしょうか?

今さら聞けない答えを内緒でチェックしましょう!

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「人一倍」って一倍じゃないのはなぜ?その答えは……!?

江戸時代以前は「一倍」=「×2」として認識されていたのです。

その名残で「人一倍」は今でいう「人二倍」の意味を持っているのです。

有名なドラマで出てくる「倍返しだ」というセリフも同様で、「二倍返しだ」というような意味が込められています。

「倍」についてもう少し

ここからは、「倍」について、もう少し詳しく見ていきたいと思います。

昔は「倍」が「×2」だったということは分かりました。

ここからは、どのようにして、言葉の持つ意味が変わっていったのかをご紹介します。

いつから意味が変わった?

「一倍」とは何かを調べてみると、

「二倍の古い言い方」とあり、昔は一倍が二倍であったことが分かります。

いつから言い方が変わったのかといいますと、江戸時代以前は東洋数字の定義が用いられており、一倍=×2、二倍=×3という意味合いでした。

しかし、明治以降になると西洋文化がどんどんと日本に入ってきたことで、西洋に合わせようということになったそうです。

そこで、政府は混乱を避けるために「太政官布告(たじょうかんふこく)」というもので、表記についての取り決めを交付しました。

出典:『太政官布告』明治8年 第101−207号,太政官,明8-10. 国立国会図書館デジタルコレクション (参照 2023-06-27)

昔の書き方なので、正確な文章は分かりませんが、簡単に読み取ると、「今後は公式文書での計算上一倍の呼称を止め、従前の規則などに一倍と記載されているものは二倍と改正します。例えば、現金一円の二倍は二円、十倍は十円と計算することを心得てください」

ということかと思います。

これ以降は、現在と同じ意味となり、「人一倍」など一部の表現にのみ昔の意味合いが残った状態となりました。

切り替え当時はきっと混乱したでしょうね。

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まとめ

今回の「人一倍」って一倍じゃないのはなぜ?の答えは、「昔の倍の意味がそのまま残った」ということでした。 当たり前に使っている言葉でも、その裏側を知ることで、西洋文化の勢いなどを知ることができますね。 ふとした時に、「人一倍って、正しくは人二倍じゃない?」というような声が聞こえてきたら、是非、教えてあげてくださいね。 というわけで、 次回の「今さら聞けない」もお楽しみに! 文/ASOPPA!事務局

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