WEC継続参戦を目指すDステーション・レーシング、LMGT3でのアストンマーティンの1枠を獲得か

 Dステーション・レーシングは、アストンマーティンがLMGT3クラスで指名するふたつのチームのうちの1チームとして、来季2024年もWEC世界耐久選手権のグリッドに残る予定だ。

 チームのマネージングディレクターを兼務する藤井誠暢はSportscar365に対し、アストンマーティンがLMGT3メーカーとしてWEC選考委員会に選ばれた場合、ふたつの出場枠のうちのひとつを獲得できる見込みだという。

 Sportscar365はふたつめのエントリー枠はザ・ハート・オブ・レーシングに与えられることを理解しており、両チームは2024年シーズンに先駆けて各チームに展開されるアストンマーティンのアップデート版バンテージGT3でキャンペーンを行う予定だ。

 これが確定すれば、2021年にWECにデビューしたDステーション・レーシングは、世界的な人気を集めるチャンピオンシップで4シーズン連続での参戦を果たすこととなる。

 星野敏がオーナードライバーとして参加する日本のチームは先週末のバーレーン8時間レースで、藤井、キャスパー・スティーブンソン、欠場した星野の代役として起用されたリアム・タルボットのトリオでLMGTEアマクラス2位表彰台を獲得。これまでの3位を上回るベストリザルトを記録した。

 藤井はSportscar365に対し、チームがLMGT3に移行してもマネージングディレクターの役割を続投することを明かし、新クラスに抜擢されることを「とても光栄に思います」と語った。

「今月後半に発表されるときに皆と同じように分かると思いますが、WECへのエントリーを継続できることを期待しています」

「アストンマーティンが持つべきふたつのエントリーのうち、私たちはそのひとつを利用できるはずです。各メーカーには2台ずつエントリー枠があるので、アストンマーティンもDステーション・レーシングとザ・ハート・オブ・レーシングを選ぶと思います」

「来年はWECに大きな変化が訪れるため、そのような結果になれば非常に光栄です」

「LMGT3によって新たな章が開かれ、さらに多くの自動車メーカーがシリーズに参戦します。だから、たとえ1パーセントでもWECに参加できる可能性があるのなら、私たちがその一員にならない理由はありません」

「もしそれが実現すれば、日本を含めてパドックで唯一のアジア勢(のLMGT3エントリー)になるでしょう。もし、そうなったらとても光栄に思います」

 藤井は2024年に復帰するスーパーGTでのプログラムを組み合わせたジョイントキャンペーンの準備のため、チームが所有するアストンマーティンGT3カーの台数を増やしたいと語った。

「WECに参戦する予定なのでそのための1台を用意し、さらに日本での国内シリーズ用に3台を追加注文しました」と藤井。

「それでオーダーは完了です。私はこのマシンをドライブし、レースで戦うことを楽しみにしています。そして同時にこれらのクルマが成功することを確信しています」

Dステーション・レーシングのドライバーとマネージングディレクターを兼務する藤井誠暢

■運営サポートをプロドライブに依頼

 また藤井は、WECでのオペレーション・パートナーがこれまでのTFスポーツからプロドライブに変更されることも明らかにした。

 TFスポーツは来年、アストンマーティンからシボレーにマシンをスイッチし、新型コルベットZ06 GT3.Rの2台体制に移行する。このためDステーション・レーシングは、アストンマーティンGT3カーの製造を手掛けるイギリスのコンストラクターにサポートを依頼するという。

 長年にわたりアストンマーティンのファクトリーGTEプロ・プログラムを運営してきたイギリス・ウォリックシャー州のバンベリーを拠点とするプロドライブは、今季途中でハート・オブ・レーシングチームに引き継がれたポール・ダラ・ラナのノースウエストAMRチームの運営パートナーを務めていた。

「私たちは長い間プロドライブと協力関係にありました」と語った藤井。

「私たちの目的は、プロドライブとの関係を継続することです。彼らはアストンマーティン・レーシング(AMR)でもありますから。AMRも私たちと同じような野心を持っていると思います」

「AMRとプロドライブは長い間このシリーズに貢献してきましたし、彼らには長い歴史があります」

「彼らも成功を続けたいと思っているはずです。だから、同じ目標を目指すことができるようにプロドライブやAMRと協力していきたいのです」

2023年WEC最終戦バーレーンではDステーション・レーシングが2位、ハート・オブ・レーシングチームが運営するノースウエストAMRが3位表彰台を獲得した。

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