鎌倉発のブランド豚、大きく育て ワカメやカジメ…海岸の「厄介者」海藻を飼料に

鎌倉の海藻を食べて育つ豚(矢野さん提供)

 鎌倉市内の海岸に流れ着いたワカメなどの海藻を飼料に加工し、地元発のブランド豚「鎌倉海藻ポーク」を育てる取り組みに地域の支援が広がっている。海藻の回収に地元の障害者施設や高齢者施設が協力し、神奈川県などが主催した海藻を集めるイベントには多くの住民がボランティアで参加。長年、海岸の「厄介者」として廃棄されてきた海藻の活用が進んでいる。

 海藻の活用を発案したのは、市内で料理教室を開いている料理家矢野ふき子さん(54)。地元漁師から「海岸に漂着した海藻が大量に埋め立て処分されている」と聞き、利用方法の模索を始めた。

 取り組みは2019年にスタート。市内七つの障害者施設の利用者がワカメやカジメ、アラメなどの海藻を海岸で回収して洗い、天日で乾燥させて飼料に加工。協力を得ている厚木市の養豚場「臼井農産」に提供している。当初は毎月1頭のペースで出荷していたが、現在は月に6頭にまで増えた。20年には農林水産省の6次産業認定を受けている。

 障害者支援施設「鎌倉薫風」(同市関谷)の渡部真理課長は「多くの人に感謝され、自分たちの収入にもなるので利用者はやりがいを感じている」と話す。取り組みを知った高齢者施設も協力し、ボランティアで回収を手伝ってきた。

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