雅子さま お話しも、かがむのもご一緒に!秋の園遊会で天皇陛下と「おしどり接遇」

秋の園遊会を主催された天皇陛下と雅子さま /(C)JMPA

松任谷由実(以下松任谷)「ありがとうございました。本日もお招きいただきまして」
雅子さま「お会いできてうれしいです」
松任谷「私もです」
陛下「お忙しいんじゃないですか」
松任谷「忙しいほうが好きなので」
雅子さま「50周年のツアーをなさって……」

11月2日、抜けるような青空の下、5年ぶりとなる秋の園遊会が開催された。皇室から出席されたのは、園遊会を主催されている天皇皇后両陛下のほか、秋篠宮ご夫妻、華子さま、久子さまなど7方。

「ペルーご訪問中の佳子さまや、ご公務があった信子さまも欠席されています。1千人以上の招待者に対して、皇室の方々は9方。またコロナ対策のために食事やアルコール類も提供されませんでした。

状況だけみますと、かつての園遊会よりも、やや寂しい印象を受けそうですが、招待者たちがみんな満足していたのは、天皇陛下と雅子さまの、心のこもったおもてなしゆえだと思います。両陛下が主催されるのは、まだ2回目ですが、雅子さまはとてもリラックスされたご様子でした」(皇室担当記者)

コロナ禍のために4年もの間、園遊会を開催することはできなかった。そのため園遊会の“高齢化”も進んでいるという。

「この間に、園遊会に招かれるべき各界の功労者はかなり増えてしまっています。なるべく高齢者から招待しなければならず、会場内でも車いすを使用している人も多かったです。

そういった人々に対して、両陛下が仲むつまじげにお二人並んで腰をかがめて、お話ししていることもしばしばありました」(前出・皇室担当記者)

天皇陛下と雅子さまの“高齢者対策”はそれだけではなかったという。宮内庁関係者は語る。

「招待者は、各界の第一人者ばかりです。天皇陛下と雅子さまはリストができあがると、すべての人の名前や業績を把握されます。ですから、両陛下はその人物がどういった業績の持ち主なのかをご存じなわけです。しかし、できるだけ聞き役に徹し、さらに相手が話しやすいように相づちを打たれるなど、工夫をこらされているのです。

特に雅子さまについては松任谷由実さんが、『皇后さまは、わりあい寡黙な方でいらっしゃって、でもすごく優しくほほ笑まれていたので……』などと語っていたほどでした。両陛下が園遊会での会話で、留意されていることはもう1つあります。一人の人物に対して、お二人でお話しされるということです」

■10メートルも離れてしまわれた上皇ご夫妻

確かに冒頭で紹介した松任谷由実とのやり取りでも、ご夫婦でフォローし合うように交互に話しかけられている。ちなみに“ひふみん”こと、ベテラン将棋棋士・加藤一二三氏とのやり取りは、次のようなものだった。

陛下「加藤さんも将棋界の発展のために、たいへんご尽力なさって」
雅子さま「長年にわたって、小さいときから、中学生のときに……」
加藤「はい、中学生のときに棋士になりました」

この後、両陛下と加藤氏は猫の話題で大いに盛り上がっていた。こうして会話が終わると、お二人で次の招待者に話しかけられるという、いわば“おしどり接遇”でいらしたのだ。

「今回、報道陣の一部からは、『天皇陛下と雅子さまのお顔がかぶってしまって撮影が難しい』という声も上がっていたのですが、それだけお二人が寄り添われていたということなのでしょう。

あたりまえのように聞こえるかもしれませんが、実は上皇ご夫妻は異なるスタイルをとられていました。平成時代の園遊会では、上皇さまと美智子さまがお元気だったころは、それぞれ別の人物とお話しになることが多かったのです。

ただ上皇さまと美智子さまでは、会話に割かれる時間がかなり違いました。温かな話されようながら、やや言葉数は少ない上皇さま。そして豊富な知識や語彙を駆使して、軽妙に会話を楽しまれる美智子さま。

どうしても美智子さまのほうが一人一人との時間が長くなり、少しずつ上皇さまと美智子さまの距離が広がってしまうこともしばしばありました。ときには10メートル以上も広がってしまうこともあり、美智子さまの後にお話しになる皇族方が順番をお待ちになっているという場面もよく見られました」(前出・宮内庁関係者)

天皇陛下と雅子さまは、“脱・美智子さま流”ともいうべき新しいスタイルで接遇に臨まれているが、

「美智子さま流を継承されている皇族もいらっしゃいます」

と、前出の宮内庁関係者。

「紀子さまも、お一人お一人と非常に丁寧にお話をされていました。そのため秋篠宮さまが先行する形になり、秋篠宮さまはときどき両陛下と紀子さまの間でお待ちになっていたのです」

令和を襲ったコロナ禍の影響も少しずつ薄れており、園遊会の招待者も来年以降は増えていく可能性が高いという。天皇陛下と雅子さまが編み出された“おしどり接遇”は今後も、たくさんの笑顔の花を咲かせていくに違いない。

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