「命を落としてしまうこともある」千葉の動物園が“来園者の身勝手な餌やり”に悲痛喚起

(写真提供:袖ヶ浦ふれあいどうぶつ縁)

千葉県袖ケ浦市にある動物園「袖ヶ浦ふれあいどうぶつ縁」が11月6日、X(旧Twitter)を更新。《また悲しいことがありました》という書き出しから始まるその投稿には、ヤギ二頭の写真とともに、こう書かれていた。

《グレイスとみるみる親子のところに、ふだんの飼育では絶対にあげることがないパンがころがってました・・・たくさん食べるとお腹にガスがたまって死んじゃうこともあるのに・・》

園は《縁では主食になる乾草もいっぱいあるなかからよーーーく吟味して一番良いものを動物たちに食べてもらってます》と明かし、動物たちのご飯代を作るために倹約していると説明。そして《いつも良い物を食べてもらってても、身体に良くない物をあげられると全部がだいなしになっちゃいます》といい、こう結んだ。

《ごく一部のかただとおもいますが・・・お願いします!動物たちに持ち込みのえさをあげないでください!!本当に本当にお願いします!!縁にいる動物たちはみんな僕たちスタッフの家族です!!どうかお願いします!!》

すると動物を思う、園の切実な願いはX上で反響を呼ぶことに。《ほとんどの方は常識のある方だと思いますが、一定数でこういう方はいると思います》《本当に動物のことを第一に考えて運営してくださる施設は大変貴重なのに、非常識な人たちは本当に困りますね、、、》《動物園で売ってるやつならまだしも、持ち込みはダメだよねぇ》といったコメントが寄せられている。

そこで本誌は「袖ヶ浦ふれあいどうぶつ縁」に問い合わせ、担当者に話を聞いた。まず、ヤギにパンをあげることの危険性について、こう語ってくれた。

「その日の夕方、パンの食べかけが落ちているのを見かけました。でも、うちでは絶対にヤギにパンはあげません。なぜかというと、牛や羊やヤギといった動物にパンなどのグルテンがよく含まれているものを与えると、胃の中でガスが異常発生してしまうことがあるためです。その結果、病気を起こして命を落としてしまうこともあるので……。来場者の方があげたのかなと思い、本当に残念だなぁという気持ちになりました」(以下、カッコ内は担当者)

担当者は「ヤギの餌である干し草に、うちはこだわりをすごく持っています。海外からコンテナで運ばれてきて、その中から一番いいものを厳選して与えているんです。それにもし餌やりをする場合は、園内で販売している餌をあげてほしい。我々が畑で収穫してきた野菜も提供しています」と明かす。

Xでは《また悲しいことがありました》と切り出しているが、実はこういった来場者の“マナー違反”は以前にもあったという。

「1年くらい前でしょうか、動物に腐った人参を与えている人がいました。今回のこともあわせると2度もそういったマナー違反と言えることが起こりましたから、本当は園内にカメラを設置するべきなんだと思います。ただ莫大にお金がかかりますし、それなら動物たちの施設を新しくしてあげたい。ですから、もうお客様にお願いするしかないですよね」

「注意喚起していくしかないのでしょうね」と悲しげに語った担当者。勝手なエサやりは誰のためにもならないのだ。

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