新たに導入された予選規則は「さらにトラブルを生むだけ」とフェルスタッペンが問題を指摘/F1第21戦

 レッドブルのマックス・フェルスタッペンは、F1第21戦サンパウロGPで新たに導入された規則を気に入っていない理由を説明した。この新しい規則とは、ドライバーが予選中にコース上でギャップを作り出すために、F1のピットレーンを塞ぐことを禁ずるものだ。

 ドライバーたちはアタックラップを始める際に自分と前のマシンとの間にスペースを作ろうとするため、FIAは最近になって予選中のトラフィックを最小限に抑えるべく、最大ラップタイムルールを導入した。しかしこのルールの意図せぬ結果として、ドライバーたちがコースに出る前にピットレーンでギャップを作り出そうとするようになり、コースに出る際にピット出口で停車して、最適なタイミングを狙う場面が見られるようになった。

 サンパウロGPを前に導入された新たな規則により、ドライバーは他のマシンが追い越せるようにできるかぎり左側に寄れば、ピット出口とセーフティカーライン2の間でギャップを作ることが認められた。だが土曜日のスプリント・シュートアウトにおいて何度か混乱した状況が見られた。とりわけフェルスタッペンは、車列をすり抜けようとして芝生の上を通ることを余儀なくされた。

 フェルスタッペンの考えでは、新たな規則は“さらにトラブルを生み出すだけ”であり、場合によっては“非常に危険”になり得るという。

「本当にひどかった」とフェルスタッペンは語った。

「このコースには、とても長いピット出口とウォールが何カ所かある。でも他の一部のコースでこれを実施したら、みんなが時速300km以上で追い越していくストレートをかなりの低速で走ることになる。時速15kmや20kmで走行してギャップを作ろうとするかもしれないけれど、それはとても危険だ」

「僕は、これは全然うまいくいかないと思う。さらにトラブルを生み出すだけだ。予選での出来事を見るといい。僕も含めて、みんな追い越しをするのに芝生の上を走っていた」

「予選は毎回混乱していた。6台から8台のクルマが、最低限に低速で走りすぎたと指摘された。僕たちが何を達成しようとしているのかわからない」

2023年F1第21戦サンパウロGP予選 マックス・フェルスタッペン(レッドブル)

 この規則については、すべてのコースで同じということにはならず、一部のコースはピットレーンがルールに適合していない。FIAはレースディレクターズノートによって、各ラウンドのコース特有のピットレーン環境に合わせて、規則を微調整するものと思われる。

 マクラーレンのランド・ノリスは新ルールに反対してはいないが、土曜日に彼が違反した最大ラップタイムの規則についてはそれほど満足していない。

「午前中に僕の前に2台のマシンがピットレーンから出てきて、1台がセーフティカーラインを超えていたこと、そして1台がピットレーンに同時に出たせいで、戒告を受けた」

「オーバーテイクはできないし、そうでなければ予選ラップでレースをすることになってしまう。それはばかげたことだ。だから僕が減速しなければならず、それで最小タイムを下回った。そのために戒告処分を受けたんだ」

「ばかげたことだよ。スチュワードが間違った決定を下したわけではない。僕の意見ではこのルールはあるべきではない。僕は何も間違ったことはしていないんだからね。誰もブロックしていないし、誰の進路も邪魔していない。ただオーバーテイクせずに予選でレースをしなかっただけだ。それで戒告処分だ。おかしなことだよ」

「みんなが低速で進むということはあるけれど、それが怖ければ早めにピットレーンを出て行列を避ければいい」

2023年F1第21戦サンパウロGPスプリント・シュートアウト ランド・ノリス(マクラーレン)

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