廃食油バイオ燃料で走る貨物けん引車両 大分空港で実証実験を開始【大分県】

貨物コンテナを積み、高純度バイオディーゼル燃料で走るトーイングトラクター=国東市の大分空港
トーイングトラクターに高純度バイオディーゼル燃料を入れる作業員

 【国東】大分空港(国東市)で貨物をけん引している車両(トーイングトラクター)に、市内で回収された廃食油を精製した高純度バイオディーゼル燃料を使う実証実験が始まった。日本航空(JAL)の取り組みで、地元のクリーンエネルギーを生かして二酸化炭素(CO2)排出実質ゼロ実現につなげる。

 高純度バイオディーゼル燃料を使用する車両は、JALのトーイングトラクター1台。航空機の出発・到着時、乗客の荷物などが入った貨物コンテナを運搬する。

 今月から、燃料を軽油から切り替えて実験をスタートした。6日はデモ走行が報道陣に公開され、車両は貨物コンテナ1台を引っ張り、スムーズに移動した。

 燃料は、市が「くにさきわくわく油田プロジェクト」と銘打ち、家庭の廃食油を集めて「くにさきエコシステム」(市内国東町浜崎)が精製している。軽油と比べて、1リットル当たり2.62キロのCO2削減効果がある。

 5月から使用を始めたくにさきエコシステムのごみ収集車では走行性能や燃費に変わりはなく、車両に不具合も出ていないという。JALは定時運航などに支障はないと判断し、空港車両への導入を決めた。

 実験は1年間を予定し、採算面などを含めて継続使用が可能か見極めていく。航空業界のCO2削減は世界的な課題で、JAL大分支店の大多和繁孝支店長は「バイオディーゼル燃料は大きな選択肢になる」と期待する。

 国東市は2050年までに市内のCO2排出量を実質マイナスにするカーボンネガティブ宣言をしている。市内ではごみ収集車の他に、消防車や救急車、スクールバスなどにもバイオディーゼル燃料を使っていく方針。

 環境衛生課の河村任課長は「多くの市民から寄せられた廃食油で、新たなエネルギー地域循環が始まっている。今後も市民と一緒に取り組みを進める」と話している。

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