長崎の平和祈念像の「原型」 15センチの祈念像が公開へ 長年刑務所に…矯正展で初紹介

公開される小さな祈念像=諫早市、長崎刑務所

 長崎刑務所(諫早市小川町)で11、12の両日に開催される第42回長崎矯正展で、被爆地長崎を象徴する平和祈念像を制作した本県出身の彫刻の大家、北村西望氏(1884~1987年)が寄贈した小さな祈念像(高さ15センチ)が展示される。同刑務所によると、かつて旧浦上刑務支所(現長崎拘置支所、長崎市白鳥町)の前庭に置かれていたが、同展では初公開。担当者は「北村氏の平和への思いに触れてほしい」と話す。
 浦上刑務支所は先の大戦中、現在の長崎市の平和公園の場所にあったが、原爆で壊滅。受刑者や職員ら134人が命を落とした。同刑務所によると、小さな祈念像は北村氏が原爆犠牲者を悼み、法務省矯正局に寄贈。平和公園の祈念像の「原型」として同省の矯正史料に指定されている。
 戦後、同市白鳥町に移った浦上刑務支所の前庭に1959年に建立されたが、北村氏の死去に伴って諫早市の本所に移し、公開されることはなかった。一般の目に触れるのは少なくとも平成以降で初めて。現在、長崎拘置支所には別の祈念像が設置されている。同刑務所は「国の安心・安全を支える矯正施設の役割などを紹介する同展の趣旨が、平和を希求した北村氏の思いに通じるところがあるのではと考えた」としている。
 新型コロナの影響で4年ぶりに開催する同展では、同刑務所のほか全国の刑務所、刑務支所、少年刑務所で製作された金属・革・木工・洋裁製品など約1万点を展示販売。売り上げの一部は犯罪被害者支援団体の活動支援に充てる。施設見学、南高愛隣会「瑞宝太鼓」演奏などのイベントもある。問い合わせは同刑務所(電0957.22.1330)。

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