最新研究で判明した「毎日のチーズ」が認知機能におよぼす影響

チーズが健康維持にもたらすメリットはさまざまな論文で言及されている(写真:アフロイメージマート)

「ふだんチーズを食べる習慣がある人は、そうでない人に比べて認知機能が高い、という研究結果が先日発表され注目されています」(全国紙社会部記者)

東京都健康長寿医療センターは10月19日、桜美林大学などとの共同研究の成果を発表。

《チーズの摂取が認知機能の高さと関連する》ことを明らかにした。

「日常的なチーズ摂取者は、非摂取者より牛乳を飲んでいる割合が高く、尿失禁の頻度が低く、そして認知機能の評価指標であるMMSEのスコアが高い(=よい)ことがわかりました」(同記者)

認知機能が高いということは、すなわち認知症のリスクが低いことにつながる。ではチーズのどんな成分・栄養が認知機能維持に効果を発揮してくれるのだろうか。『80歳でも脳が老化しない人がやっていること』(アスコム)などの著書がある、脳科学者の西剛志先生に聞いた。

「発酵食品であり、高タンパクなど栄養価の優れたチーズに認知症予防や健康寿命を延ばす効果があることは、過去にも多くの論文で発表されています」

いっぽう、チーズには食べ続けると「コレステロール値が高くなる」という指摘もある。

「心筋梗塞リスクを高めることから、コレステロールは敬遠されがちです。しかし実際には、コレステロールは認知症予防にはプラスに働くんです。コレステロールが低いと“幸せホルモン”といわれるセロトニンが細胞に取り込まれにくくなり、幸せを感じにくくなります。すると老人性うつになりやすく、認知症リスクは高まってしまうことに」

海外の研究でもコレステロールが低いと心筋梗塞リスクこそ下がるが「全体的な死亡率は約7%上がり、がんの死亡率は約43%も上がる」と西先生。さらに「うつや認知機能低下の影響か、自殺や事故死のリスクが78%上昇する」というのだ。

では、健康効果を得るために効果的なチーズの食べ方はというと「歩くなど運動をした後の食事にトッピング」がおすすめだと西先生は説明する。

「前述の発表にもあるとおり、歩行スピードと認知症リスクには関係性があり、筋力があって、速くしっかり歩けるほうが認知症リスクは低い。チーズには、筋肉をつくるタンパク質が豊富に含まれ、肉類よりも吸収されやすいので、ウオーキングなど運動の後に取るのが望ましいです」

たとえばトーストやパスタなどに、スライスチーズやパルメザンチーズ(粉末か、すりおろし)をトッピングすると理想的だ。

「主食の肉などもきちんと取りながら毎日の食事にチーズを加えることで、十分なタンパク質が摂取でき、血糖値の急激な上昇も防いでくれるので一石二鳥です。ただし、チーズには塩分が含まれますので、塩分過多には気をつけるようにしてください」

毎日適量のチーズを食べて、脳の若さをキープしよう。

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