収量3割増の大豆開発 2品種、安定供給に期待 茨城・つくばの農研機構

新品種大豆の研究成果を発表する農研機構の担当者=東京都千代田区

農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構、茨城県つくば市)は7日、大豆の収量が現在の普及品種よりも3割以上増える「そらみずき」と「そらみのり」の新品種2種類の育成に成功したと発表した。代表的な加工品の豆腐にも適している。新品種の普及によって、国内自給率が低い大豆の安定供給が期待される。

「そらみずき」は関東から近畿まで、「そらみのり」は東海から九州までが各栽培適地とされる。現在流通している品種よりも3割以上増えたことが実証された。病気に強く、収穫ロスも低減できた。2021年秋に同県筑西市で行われた実証試験では、茨城県の認定品種でもある「里のほほえみ」の実の収量が畑10アール当たり230キロの収量だったのに対し、「そらみずき」は同314キロだった。

2品種はいずれも、収量が高い米国品種と豆腐などの加工に適している日本品種を交配し誕生した。約10年をかけ、交配や茨城県内などの大規模な畑での実証を重ねた。

2品種を原料とした豆腐は、国内で普及する米国品種のものと比べ、やや軟らかく、黄色みが強い。納豆への活用では「そらみずき」は不適だった。

大豆の流通を巡っては、需給逼迫(ひっぱく)が懸念されている。国内自給率はわずか約7%。日本の生産量は横ばいだが、世界の消費量は増加。気象災害に伴う価格変動や円安もあり、安定した確保が十分見通せない状況にある。日本品種の収量は主要国の米国種の半分にとどまり、多収量の品種開発に迫られていた。

開発に関わった加藤信上級研究員は「国産大豆の供給量を増やして自給率を上げることで、食料安全保障が守られる」と新品種の可能性に期待を込める。大木信彦主任研究員は「まずは現場生産で大規模生産者と連携して認知してもらい、成果をもって普及させたい」と拡大策に意欲を示した。

開発された新品種の大豆2種類

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