警察犬が探す、認知症の行方不明者 民間育成の犬も活躍 「恥ずかしがらずに早めの情報提供を」

テレビ愛知

認知症などで行方不明となる人が増えています。捜索に活躍するのが「警察犬」です。実際に民間が育成する「嘱託警察犬」の訓練をしている小林素和さんに話を聞きます。

警察犬

――警察犬は、警察が飼育・訓練する「直轄犬」と、民間の施設で訓練する「嘱託犬」の2種類に分かれます。嘱託犬と直轄犬の出動状況について教えてください。

圧倒的に「直轄警察犬」が多いです。嘱託警察犬も40回ほど出動しています。例えば、蒲郡市で任務を行っているときに、北名古屋市で同じ時間帯に現場への出動が必要になったとします。すると、直轄犬のみでは時間がかかってしまいます。行方不明者の捜索は、なるべく早く到達して、早く探すことが一番です。

――愛知県警の直轄犬が10頭、嘱託犬が40頭です。この割合についてはどのように捉えていますか。

直轄警察犬を10頭増やして20頭にする、嘱託犬も20頭増やして60頭にしても良いと思います。愛知県は巨大な都市なので、それくらいの頭数や人数が必要だと考えています。

――現状は少し足りないという実感はありますか。

あります。特に嘱託警察犬の場合は民間の訓練士が行っていて、普段は別の仕事をしています。仕事の合間を縫って訓練するので、すぐに活動することが難しいです。そのため、近くの嘱託犬を順番に探して出動してもらえます。多くの警察犬がいれば、それだけ早く到着することができ、早く行方不明者を発見できます。

警察犬が捜索しやすいように、迅速に届け出る

――現状の嘱託警察犬は、依頼からどれくらいのスピードで動き出せますか。

朝5時や6時に行方不明になった場合、私たちに通達が来るのは昼過ぎぐらいが一番多いパターンです。高齢者といわれる60代から70代前半の方が痴ほうで外を出歩いた場合、6時間歩くとかなり遠くまで行ってしまいます。そのため捜索に過大な負担がかかります。なるべく早く現場に行って、探すことが重要になると思います。

――時間が経過して対象の方が遠方に行くと、警察犬でさえ追跡できなくなってしまうのですね。

方向性は分かります。しかし、人が歩いた上を車や人、犬、動物など色々なものが横断すると、点から点を探すことになり、浮遊臭気を探索しなくてはなりません。それは困難を極めるため、早めの対応が望まれます。

――警察からの要請から出動までの時間をスムーズにするためにも、行方不明になった方のご家族はすぐに通報した方が良いですね。

行方不明者は2度、3度と繰り返されることが多々あります。世間体を気にして警察に届け出るのが遅くなってしまうと、警察犬が出て行くのに時間がかかってしまいます。結果、行方不明者の方も疲れ果ててしまうので、なるべく早く恥ずかしがらないで情報を提供してもらいたいです。

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