アップル、Final Cut Proをアップデート。タイムライン操作の向上などワークフローを効率化する新機能

Appleは、Final Cut Proのアップデートを発表した。2023年11月下旬から、既存ユーザーには無料アップデートとして、新規ユーザーにはMac App Storeを通じて45,000円で提供される。 今回のアップデートにより、タイムラインの操作や整理が改善されたほか、複雑な編集をシンプルにする新しい方法が加わる。

このアプリは、Appleシリコンの電力効率の高いパフォーマンスとオブジェクトトラッカーのための新しい機械学習モデルを活用し、複数のメディアエンジンを搭載するMacのモデルでは書き出し速度が向上する。iPadのためのFinal Cut Proは、ボイスオーバー収録への対応、アプリ内コンテンツのオプションの拡張、カラーグレーディングのプリセットの追加、ワークフローの向上など、ポータブルなMulti-Touchの編集体験をさらに強化する。

MacのためのFinal Cut Proの新機能

MacのためのFinal Cut Proの最新のアップデートは、複雑な編集をシンプルにする新しいツールと、向上した書き出し速度をクリエイターに提供する。

パワフルな整理ツール

クリエイターが複雑なタイムラインの編集中でもフローを途切れさせることなく作業できるように、Final Cut Proにタイムラインの自動スクロールが加わる。再生中に再生ヘッドの下にクリップが常に表示されるので、作業に集中しやすくなる。さらに、ズームツールまたはキーボードショートカットを使って、再生中にタイムラインの表示を動的に調整できる。

Final Cut Proにタイムラインの自動スクロールが加わり、再生中に再生ヘッドの下にクリップが常に表示。作業に集中しやすくなる

また、このアップデートでは、編集時にタイムラインの構成を一目で把握できるようになり、割り当てられたロールに応じてクリップを簡単に見分けることができるようになるほか、ビデオとオーディオのロールのカラーが見やすくなる。見分けやすいカラーになったことで、ユーザーはタイムラインインデックスを使ってロール別にクリップを特定し、ハイライトすることもできる。

ユーザーは、タイムライン上の複雑なセクションを瞬時に整理してこれまで以上に効率的に作業できるほか、重なり合う接続クリップのグループを選択して結合し、1つの接続されたストーリーラインにまとめて編集を微調整できる。さらに効率的に整理するために、接続したクリップを既存の接続されたストーリーラインにつなげることも可能だ。

アップデートされたFinal Cut Proでは、ユーザーはタイムラインインデックスを使ってロール別にクリップを特定し、ハイライトできる

Appleシリコンのためにさらに最適化

映像のプロは、複数のプロジェクトを同時に手がけることがよくあるが、このアップデートにより、プロジェクトの書き出しがこれまで以上に高速になる。利用可能なメディアエンジンにビデオのセグメントを自動的に送って同時に処理し、H.264とHEVCの書き出しを高速化できる。

オブジェクトトラッキングは、まったく新しい機械学習モデルにより、驚異的なエフェクトの作成において幅広い可能性を提供する。Appleシリコン搭載のMacでは、オブジェクトトラッカーを使って顔などのオブジェクトの動きを解析する時に、解析結果が向上する。解析方法を自動に設定すると、Final Cut Proが最適な解析方法を選択する。

iPadのためのFinal Cut Proの新機能

iPadのためのFinal Cut Proの最新アップデートは、映像クリエイターが録画、編集、仕上げ、共有のすべてを1台のデバイスで行える、パワフルなツールセットを提供する。

新しいボイスオーバーの機能

このアップデートでは、ライブオーディオが追加されさらに便利になる。クリエイターは、iPadで内蔵マイクまたは外付けマイクを使って、タイムラインで直接ナレーションやライブオーディオを簡単に録音できる。タイムラインの再生中に録音をタップするか、ボイスオーバーを開始したい正確なポイントを見つけ、カウントダウンを使って録音を開始できる。

ワークフローのメリット

ユーザーは、プロ向けのカメラモードで手ぶれ補正をオンにして映像のぶれを改善し、ビデオをスムーズにしたり、オフにしてアクションや動きを強調したりできる。映像はプロジェクトに直接取り込めるので、接続されたストーリーラインなどの新たに強化された機能を利用して、さらに早く編集を始めることができる。

クリエイターは、接続されたクリップまたはストーリーラインのグループを選択してつなぎ合わせ、1つのストーリーラインにまとめて効率を高めることができる。新しいグループコマンドは、マグネティックタイムラインのパワーと接続クリップを組み合わせてタイムラインを整理する。

新しいキーボードショートカットを使ってボイスオーバーとクリップのグループ化ができるので、編集がさらに高速になる。ユーザーは、新しい数々の美しいカラーグレーディングのプリセットと、選りすぐりの新しいタイトルとジェネレータを使って、ビデオを完璧な見栄えに調整して仕上げることができる。

iPadのためのFinal Cut Proは、iOSのためのiMovieで作成したプロジェクトの読み込みにも対応しており、iPadユーザーはFinal Cut ProプロジェクトをMacに書き出して、高度な色補正や豊富なサードパーティのコンテンツオプションなどの拡張ツールを使うことができる。

対応モデル/OS

Final Cut ProはM1チップ搭載のiPadモデル以降に対応しており、iPadOS 16.6が必要。Macの場合は、macOS Sonoma以降、およびApple M1 Max、M1 Ultra、M2 Max、M2 Ultra、M3 Maxを搭載していること。 iphoneはiOSのためのiMovie 3.0以降とFinal Cut Pro 10.7以降が必要。

© 株式会社プロニュース