「民営化」で進む人命軽視、企業が暗躍 フリージャーナリスト西谷さんが講演

「憲法9条の精神を生かし、話し合いで解決することが大切」と訴える西谷さん(福知山市昭和新町・府中丹勤労者福祉会館)

 ロシアのウクライナ侵攻をテーマに平和の在り方を考える講演会が、京都府福知山市昭和新町の府中丹勤労者福祉会館であった。ウクライナやアフガニスタンなど紛争地域で取材を続けるフリージャーナリスト西谷文和さん(63)が「憎しみの連鎖を断ち切るには、話し合いで解決する道を地道に模索していくことが大切だ」と訴えた。

 市民でつくる「平和のための福知山戦争展実行委員会」が10月29日に開催し、約90人が集まった。

 西谷さんは5月にロシア国境に近いハルキウや多くの民間人が虐殺されたブチャを取材した。ミサイル攻撃で廃虚となったショッピングセンターや道路脇に掘られた塹(ざん)壕(ごう)などの写真を紹介し「民間軍事会社や広告会社が暗躍して戦争の民営化が進み、人命軽視や戦争の長期化につながっている」と指摘した。

 住民や兵士の遺影が街の至る所に飾られている光景を目の当たりにしたといい、「両国の犠牲者が増えるほど戦争を終わらせるのは難しくなる」と強調。「憲法9条の精神を国際社会で生かし、国連主導による停戦協議を早期に実現してほしい」と締めくくった。

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