【エリザベス女王杯】ブレイディヴェーグに宿る「クイーンの血」 女王の座に届かなかった母たちの“再戦”

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第48回エリザベス女王杯(11月12日/GI、京都芝2200m)は、GIホースがジェラルディーナただ1頭となり混沌とした様相。そんな中で、ローズS2着という重賞実績のみの3歳馬ブレイディヴェーグが1番人気に推されようとしている。

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■過去にしのぎを削ったライバル

ブレイディヴェーグの母インナーアージは中央芝4勝の中距離馬。祖母がミュージカルウェイなので、叔母にはオークス、秋華賞の2冠を制したミッキークイーンがいる。同馬は2016年のエリザベス女王杯に出走。スローで流れて前残りの展開だったが、1番枠から中団でじっくり脚を溜め、直線では鋭く伸びて3着。

そして、この時の4着馬がアートハウスの母パールコードだった。パールコードは大外15番枠から果敢に先行集団に取りついて粘り込みを図ったものの、ゴール直前でミッキークイーンに交わされて4着に泣くこととなった。

ミッキークイーンは2017年のエリザベス女王杯にも出走。5枠10番からのスタートで中団外めを追走と、前年よりもロスの大きい競馬になったが、手応え優勢で4コーナーを回ると外から強襲。勝ち馬とタイム差なしで再び3着に好走した。

この時、横一線となった直線のなか、馬場の真ん中で踏ん張っていたのが、当時1番人気に推されていたディヴィーナの叔母ヴィブロスだった。ディヴィーナの母ヴィルシーナはエリザベス女王杯2着の実績があり、5歳春まではヴィクトリアマイル連覇、宝塚記念3着などGIで活躍。妹であるヴィブロスも血統的に期待をされたが5着に敗れ、人気を裏切る格好となってしまった。

■母たちが託す“血の再戦”

女王の座にあと少し届かなかったミッキークイーン。直線での熾烈な叩き合いのなか、ミッキークイーンに交わされてしまったパールコードとヴィブロス。今年はその血を受け継いだ3者が一戦を交える。

ローズS2着で重賞未勝利の身ながら、人気に推されてマークされる立場となるブレイディヴェーグ。ミッキークイーンのようなセンスの良さに加えて末脚が魅力。ロードカナロア産駒だが母系から距離はもつだろう。実績上位馬たちのプレッシャーをはねのけてレースができれば本物だ。リバティアイランドとも渡り合えるだけの存在になれるか、今後を占ううえでも要注目となる。

スクリーンヒーロー産駒で晩成開花が待たれたアートハウスは、母パールコードのような先行力と渋太さが光る。今回、伏兵に甘んじる格好となりそうだが、競馬は得てして波乱を生むのは前の馬だ。川田ジョッキーとのコンビではなくなるさみしさがあるものの、先行意識の強い坂井ジョッキーとは手が合うはず。

そして前走は逃げを打つ競馬と母の姿と重なったディヴィーナ。母ヴィルシーナとその妹ヴィブロス、そして姉妹、親子を管理する友道厩舎と佐々木オーナーが悲願のタイトルに向けて虎視眈々だ。ヴィルシーナの仔・ディヴィーナとジェンティルドンナの仔・ジェラルディーナの、母がライバル同士の対決に注目が集まる一方で、3者の再戦にも熱くなるものがある。

いずれにしてもこの舞台に対して血統的な後押しのある3頭。果たして母たちが成しえなかった女王の座につくことができるのか……血の再戦の行方に注目したい。

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(文●Asuka.F/SPREAD編集部)

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