有害性指摘の化学物質「PFAS」問題…清水区化学工場周辺井戸から国指針値の最大26倍検出も(静岡市)

有害性が指摘される化学物質「PFAS」が静岡市清水区の化学工場周辺で検出されている問題で、静岡市は8日、工場周辺にある井戸水から、最大で国の指針値の26倍の「PFAS」が検出されたと発表しました。

(静岡市 難波市長)

「PFAS濃度は市が調査した5か所のうち4か所で暫定目標値の7~26倍になっている」

国の指針値を超える化学物質「PFAS」が検出されたのは、10年前まで「PFAS」が使用されていた、静岡市清水区三保の「三井・ケマーズ フロロプロダクツ清水工場」の周辺にある井戸水です。これまで静岡市では、国の指針値を超えるPFASが検出されたことから、工場周辺の水路と市内5つの河川の合わせて6か所で「PFAS」の濃度を調査していました。その結果、水路からのみ、国の指針値の、1リットル当たり50ナノグラムの5倍を超える、1リットル当たり270ナノグラムのPFASが検出されました。

静岡市は10月、工場周辺の井戸5か所でも調査をしていて、会見で、井戸4か所から国の指針値の7倍から26倍の「PFAS」が検出されたと発表しました。この結果を受けて、難波市長は「健康への影響はほぼない」としつつ、三保地区の井戸水について「当分の間は飲用を控えてほしい」と呼びかけました。

(静岡市 難波市長)

「暫定目標値は『体重50㎏の人が水を一生涯にわたって毎日2リットル飲用しても、この濃度以下であれば人の健康に悪影響が生じないと考えられる水準』をもとに定められている。暫定目標値を超えた濃度の水を毎日大量に飲まない限り、健康被害はほぼ発生しないものと考えられる」

今後、静岡市は、どの範囲まで「PFAS」の影響があるのかを調べるため、工場から500m以上離れた地点の井戸水を調査するほか、「PFAS」の濃度の変動を調べるため、モニタリング井戸を2か所設置するということです。

(スタジオ解説)

それでは、静岡市清水区で検出された化学物質「PFAS」とは、どのような物質なのでしょうか。

「PFAS」は、数千種類あるとされる有機フッ素化合物の総称です。今回、静岡市清水区で主に検出されたのは、この「PFAS」のうち、毒性が明らかになり、2019年に国際条約で製造や使用が禁止された「PFOA」で、この「PFOA」は、焦げ付かないフライパンの加工などに使われ、環境の中では分解されず、血液中のコレステロールが上昇したり、発がん性があることなどが指摘されています。

8日の会見で、静岡市の難波市長は「毎日大量に飲まない限り、健康被害はほぼない」としていますが、「どの範囲まで影響が及んでいるのか調査する必要がある」として、追加調査を進めていく方針を示しました。

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