起こり続ける誹謗中傷チャント プレミアリーグが声明発表「容認できない問題として扱い続ける」

写真:ルートン・タウン vs リヴァプールの試合でヒルズボロの悲劇を揶揄するチャントが歌われた

現地時間11月5日、プレミアリーグ第11節のルートン・タウン vs リヴァプールの試合がケニルワース・ロードで行われた。

試合は1-1の引き分けに終わったが、試合中に起きたルートン・タウンのサポーターによるヒルズボロの悲劇を揶揄するチャントに対し、プレミアリーグが公式サイトにて非難した。

「ヒルズボロの悲劇」は1989年4月15日にヒルズボロ・スタジアムで行われた、FAカップ準決勝リヴァプール vs ノッティンガム・フォレストの一戦で発生した群衆事故だ。ゴール裏の立見席に収容能力を上回る大勢のサポーターが押し寄せたことにより、死者97人と多数の重軽傷者を出す大惨事となった。事故は長らくリヴァプールサポーターの問題行動が原因とされていたが、その後の調査によって警備の観客誘導の不備が直接の原因だったと結論づけられている。

プレミアリーグは「フットボールに関するあらゆる誹謗中傷を強く非難し、日曜日のルートン・タウン vs リヴァプールの試合で聞こえたチャントには愕然とした」として、以下のように声明を出している。

「私たちは、悲劇に関連した攻撃的なチャント、ジェスチャー、虐待的なメッセージを容認できない問題として扱い続けます。クラブ、イングランドサッカー協会(FA)、イングランドフットボールリーグ(EFL)とともに、優先事項として被害者に協力することに努めます。フットボールにおける誹謗中傷は、被害者の家族や他のサポーターに多大な苦痛を与えています」

「今シーズンの初めに新たな厳しい措置を導入しました。違反行為をした者はスタジアムへの入場禁止や刑事事件として起訴する可能性があります。対策の一環として、誹謗中傷が与える影響を子供たちが理解できるように教育キャンペーンを立ち上げる予定です」

リヴァプールのサポーターのマーガレット・アスピナル氏も、事件が起きた場合は声を上げるようファンに以下のように呼び掛けた。彼女はヒルズボロ・ファミリー・サポート・グループの元会長で、息子のジェームズさんをヒルズボロの悲劇で亡くしている。

「フットボールは世界中の多くの人々に大きな喜びをもたらします。しかし、悲劇を揶揄するようなチャントは必要ありません」

「それが引き起こす痛みは耐え難いものです。私たちはこのようなチャントを聞く必要はありません。子供を失うのと同じくらい傷つきます。誰かを怒らせたり傷つけたりする行為は決して受け入れられません」

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