<レスリング>米国最多の世界タイトル保持者ジョーダン・バローズ(35歳)が「クナエフ国際大会」(カザフスタン)で優勝

2012年ロンドン・オリンピックの男子フリースタイル74kg級王者で、世界選手権6度優勝のジョーダン・バローズ(米国=35歳)が、来年のパリ・オリンピック出場を目指して、あくなき情熱を燃やしている。

11月3~5日にカザフスタン・タラズで行われた「クナエフ国際大会」で、階級を約3年間親しんだ79kg級から74kg級に下げて出場し、4試合を勝ち抜いて優勝(他に不戦勝1試合)。決勝は2021年アジア選手権70kg級優勝のタルガト・シルバズ(カザフスタン)に15-4のテクニカルスペリオリティ勝ち。4試合の合計ポイントは43-7。来年春、今年の世界選手権2位でパリ・オリンピック出場枠を獲得したカイル・デイク(2021年世界王者)に挑む。

▲カザフスタンの国際大会で優勝、74kg級で再スタートを切ったジョーダン・バローズ=UWWサイトより

バローズは2011年世界選手権で優勝し、翌2012年ロンドン・オリンピックも制覇。その後、2013・15・17年世界選手権で勝ち、2016年リオデジャネイロ・オリンピックは3位。2020年東京オリンピックはデイクの台頭で逃したが、79kg級に活路を求め、2021・22年世界選手権を制した。

オリンピックを含めての世界7度制覇は米国最多。今年は世界選手権の国内予選で敗れて出場ならず、MMA(総合格闘技)入りもうわさされたが、74kg級へ戻して来年のパリ・オリンピックを目指すことを明言した。

バローズは世界レスリング連盟(UWW)ホームページに「今は新しい階級に適応しているところだ。ここ3年間、74kgで試合をしていなかった。たくさんの錆(さび)がついているので、それを払拭しなければならない。多くのことが自分に不利に働いているが、勝ったので気分はいい」と話した。

ブランドン・スレイ・コーチは「もしセルビア(世界選手権)で試合をしていたら、その後、彼はしばらく休んだだろう。これほど早く74kgにまで落とすのは難しい」と話し、今年の世界選手権の代表権を獲得できなかったことが、“74kg級のバローズ”にプラスに作用していると分析する。

今大会の計量は2kgオーバー可であったが(74kg級は76kgまで許容)、バローズは74.4kgまで落としたという。「それでいながら、多くのポイントを取り、最後まで足が動いていた。私は満足している」と期待した。

デイクがオリンピック出場枠を取ったので、米国協会の定めた規定により、パリ・オリンピックの代表争いはデイクが飛び抜けた選考へ。バローズは“その他大勢”の一人として、デイクへの挑戦権獲得からスタートしなければならない。

バローズは「35歳で競技に参加している人は多くありません。しかし、トーナメントに参加すれば、タイトルの可能性はあります。闘いにに参加できるのは楽しいことです」と話し、キャリア最後の闘いに挑む。

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