法華経説話の欄間完成 富山県砺波市の井波彫刻師、幅5メートル「人生初の大作」

法華経説話を表現した欄間を制作した大丸さん

 富山県砺波市庄川町金屋の日展会員で井波彫刻師の大丸敏さん(73)が、法華経説話の世界を表現した欄間を完成させた。大きさは幅5メートル、高さ1メートル。青森県の寺から依頼を受けた大丸さんは「これほど大きな欄間を彫ったのは初めて」と言う。完成品は10月に納め、「青森の人にも井波彫刻の良さを知ってほしい」と期待した。

 「法華経」は、仏教経典の中で最も有名な経典とされている。大丸さんは欄間に菩提樹の前でお釈迦(しゃか)様が教えを説く様子を表現した。竜女など約40の人物を彫り、顔の表情やマツの木など細部まで精巧にかたどった。

 下絵を描き、今年2月下旬から約7カ月かけて一人で作業した。「顔を彫ったり、人物のバランスを整えたりするのが大変だった」と振り返る。材料には厚さ15センチ、横3メートル、縦1メートルのケヤキ1枚と、厚さ15センチで1メートル四方の計3枚を用いた。

 大丸さんは高岡工芸高校を卒業後、父・敏夫さんに師事した。これまで、念仏の道を信じれば極楽浄土できるという教え「二河白道(にがびゃくどう)」を表現した欄間を手がけるなど、創作の幅を広げてきた。今回の出来栄えについて「人生初の大作ができた」と充実した表情を見せた。

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