「だまされたふり」成果 富山県警、特殊詐欺5口座凍結

 特殊詐欺被害の撲滅を目指し、富山県警が10月から交流サイト(SNS)で始めた「だまされたふり作戦」が成果を挙げている。開始から約1カ月間で犯人側が悪用する金融機関の口座五つを特定し凍結した。組織犯罪対策課は「犯人側は一つの口座を多くの人に振り込み先として示している可能性が高い」とし「被害拡大防止の観点から凍結の効果は大きい」とする。

 「SNS版だまされたふり作戦」は、詐欺の端緒となるメッセージが県警の職員やその家族、OBらに届いた時に始まる。県警の指導を受けてやり取りを続け、犯人側が振り込み先に指定した口座を凍結する。

 同課によると、5口座の凍結はいずれも、投資名目で金銭をだまし取る「金融商品詐欺」とみられるメッセージが端緒となった。犯罪に悪用されている口座や、その疑いのある口座以外を凍結しないよう、慎重に判断している。

 県警が相談で把握した件数を含め、県内では今年、特殊詐欺被害が10月24日時点の速報値で前年同期比137件増の206件発生。被害額は約2億3100万円多い約3億7900万円に上った。

 同課によると、県単位の同様の取り組みで口座を凍結したのは全国初とみられる。同課は「特殊詐欺などの被害を出さないよう、県警関係者以外の県民も情報を寄せてほしい」と呼びかけた。

© 株式会社北日本新聞社