「ゆりあ先生の赤い糸」で視聴者を魅了する“伴ちゃん”、演じる木戸大聖が“男らしさあふれる魅力”と“演じられる喜び”を語る

テレビ朝日系で現在放送中のドラマ「ゆりあ先生の赤い糸」。今年の「第27回手塚治虫文化賞」で頂点となる「マンガ大賞」に輝いた入江喜和氏の同名原作を実写化した本作は、主人公・伊沢ゆりあ(菅野美穂)が穏やかな生活を送っている中、夫・伊沢吾良(田中哲司)がホテルで昏倒し緊急搬送されたことから“恋人”だと名乗る美青年(鈴鹿央士)、夫を「パパ」と呼ぶ2人の女の子とその母親である“夫の彼女”(松岡茉優)と出会い、ひょんなことから彼らと“奇妙な同居生活”をすることに。さまざまな混乱の中でも強く生きるゆりあの姿を描いた令和のヒューマンドラマです。

初回から先の読めないストーリーが続く本作ですが、そんな物語の中で癒やしとなる存在が、自宅で夫の介護をすることになったゆりあの家の改装を通じて現れた便利屋・“伴ちゃん”こと伴優弥。第3話ではゆりあと2人だけの刺しゅう教室を開いたりと関係性にも大きな変化が起こり、ラストシーンには「伴ちゃんにキュンきゅんする」「伴ちゃんたまらんわ」という声が続々と集まりました。そんな優弥を演じる木戸大聖さんも「男として模範になります」とその魅力を語ります。今後も作品のキーパーソンになっていくであろう優弥ですが、木戸さんはどのように役と向き合っているのか、直撃取材しました。

――作品にはどんな印象を持たれましたか?

「今回ドラマ出演にあたって、先に原作を全巻読ませていただいて、それから台本を読ませていただきました。自分の演じる役がどのぐらい出てくるのか、どういう立ち位置なのか最初は分からなかったのですが、漫画を読めば読むほど『お? 先が気になるな!』という展開がどんどん出てきて、『便利屋さんはこんな男だったのか!』と感じていました」

――今回演じられる伴優弥の印象を教えてください。

「それこそ、漫画を読んだ時からもう好きになっちゃいました(笑)。僕も思わずゆりあさんの立場になって読んでしまうくらい、年齢の垣根関係なく優しさで寄り添ってくれる伴ちゃんは、男としても模範になりますね(笑)。あとは、父親としてのキリッとした瞬間とのギャップにもすごくひかれて、この役を演じられる喜びは大きかったです」

――第3話は、ゆりあと優弥の関係性も大きく変化した回となりました。撮影ではどんなことを感じていましたか?

「第3話でグッと2人の距離が縮まりましたが、第1話、2話を終えると、伴ちゃんってもうゆりあ先生の家には行けないので、僕からするとこのドラマにおけるロケ担当だというのは覚悟していて。だから、実はちょっと寂しかったんです(笑)。でも、ゆりあさんにとっての外の世界は伴ちゃんとゆりあさんだけの世界だから、だったらもう2人きりで楽しんでやろうと、最近はそういう気持ちになってきています」

――2人だけの刺しゅう教室だけかと思いきや、居酒屋でお疲れ会をやるという展開は一視聴者としても少し予想外でした。あそこから優弥の積極的な一面も垣間見えましたね。

「そうですね。ちょうどこの間そのシーンを撮っていたのですが、『日頃、本当に疲れているゆりあさんが飲むビール(のおいしさ)って、計り知れないと思う』と現場で監督と話していて。『ゆりあさんにとっての居酒屋は非日常の楽しい空間だから、そこは伴ちゃんがリードして楽しませてあげて』と監督ともお話していたので、伴ちゃんが飲む1杯とは比べものにはならないのだと思います。菅野さんが1杯目のビール飲む芝居、本当にすごいんですよ。注目して見返していただきたいです」

――あのシーンは…見ているこちらも「うまそう…」と感じてしまいました(笑)。

「同じものを飲んでいる僕も『うわ、うまそう!』って思っていました(笑)。しかも、午前中に撮影したこともあって、お酒を飲む時間でもないから、見ていたスタッフさんもみんなそろって『飲みたい…』と言っていて(笑)。“至高の一杯”を芝居で見せてくださる菅野さん、すごいです」

――ゆりあと優弥のシーンでは、優弥の息子・優里亜の存在も大きいかと思います。演じる佐藤大空さんとのエピソードは何かありますか?

「大空くんは、原作から出てきたようなやんちゃさとパワフルさがあって、手芸店とか公園でも本当に走り回っちゃうんですよ。スタッフさんもみんな『どこ行った!?』と捜し回るくらいすごく元気なので、そのリアルさも見どころですね(笑)」

――本作で初めてシングルファーザー役にも挑戦されていますよね。佐藤さんの演技によって、父親としての意識のようなものも感じることもあるのでしょうか?

「『よーいスタート!』から父親にはなれないから、とにかく待ち時間で優里亜の父親に近づけるように、撮影外でも大空くんと一緒に過ごすことをすごく意識をしていて。大空くんにかける言葉一つにしても、父親だったらどう声をかけるかというのはすごく考えています。やっぱりすごく元気なので、滑り台で遊んでいたら、また滑ろうと階段を使わずに滑走面を逆走しようとすることもあるんです。そういう時は、しっかりと『だめだよ!』と言うようにしています。ただ褒めるだけではなく、そういうところからも自分自身が父親としてのたたずまいのようなものを見つけている感じですね」

――この作品を通して、役者としての演技の幅が広がったと感じることも多いですか?

「そうですね。今までとは違うエリアというか、入ったことのない土地に踏み入れたことで初めて考えることもあって、僕は役者をやり続けていく以上、作品のためにそういうことも経験したいと思っています。非常に難しくて頭を抱えることも多いですが、それが楽しかったりします」

――優弥にとってはゆりあの存在が何より大きいと感じますが、初共演となる菅野さんの印象をあらためて教えてください。

「もちろんお芝居も素晴らしいのですが、待ち時間でもスタッフさんとコミュニケーションを取られていて、現場に明るい空気が自然と流れていて。それは菅野さんの人柄もあるからこそ、スタッフさんが笑っている環境もそこにはあって。スタッフさん同士のやりとりでも面白いことが起こっていたらその場所にスッと入っていく、そういう器の大きさのようなものは、本当に“伊沢ゆりあ”という女性そのものだなと思います。僕も菅野さんと2人のシーンが多いので、『やりづらいところがあったら言ってください』と伝えたら、菅野さんの方も『やりたいことあったら言ってくださいね』と言ってくださって。常に謙虚で、着飾らない方だと思います」

――安心感も強そうですね。

「もう安心感の塊ですね。ゆりあさんと伴ちゃん、優里亜の3人でのシーンでは、大空くんが難易度の高いお芝居をして、監督が求めているものに応えるというのが難しい場面もあって、集中力が切れてきてしまうこともあるんです。そういう時に菅野さんの中にある“母親スイッチ”が入るというか、大空くんにかけてあげる言葉だったり、お芝居を一緒にやっている時も『笑っている顔が欲しい』と監督が言ったら、大空くんが表情を出しやすいように、カメラが写っていないところで菅野さんが表情を作られていたりと、細かいところまで気を配られていて本当にすごいです」

――4話以降もゆりあと優弥の関係がどうなっていくか、ますます気になります。最後に、今後のゆりあと優弥の2人の注目ポイントを教えてください。

「やっぱり、ゆりあさんと伴ちゃんの2人が外で会う関係性というのがどう変わっていくのか、今後どう進展していくのかは見どころだと思います。お互いの立場もある中で、ゆりあさんは旦那さんのことだったり家庭のことも抱えている。そんな個々で問題を抱えている2人が、ひそかに会うことでぶつかる壁をどう乗り越えていくのか、そういうところは注目してほしいです。思うようにはいかない2人のもどかしさのようなものは、見ていて感じるものもあると思っています」

【プロフィール】

木戸大聖(きど たいせい)
1996年12月10日生まれ。福岡県出身。主な出演作にドラマ「僕たちがやりました」(フジテレビ系)、「僕たちの校内放送」(フジテレビほか)、「First Love 初恋」(Netflix)、映画「サヨナラまでの30分」(2020年)、「大怪獣のあとしまつ」(22年)、「先生!口裂け女です!」(23年)など。

【番組情報】

「ゆりあ先生の赤い糸」
テレビ朝日系
木曜 午後9:00〜9:54

取材・文/平川秋胡(テレビ朝日担当) 撮影/蓮尾美智子

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