過熱する即食市場「ニチレイ」は絶好調、「カニカマ」で紀文食品は黒字に

先日、何気なくコンビニの冷凍食品売り場を見て、その充実ぶりに驚きました。かつて冷凍食品といえば、ミックス野菜、フライドポテト、ハンバーク、コロッケ程度だったと思いますが、今時の冷凍食品は、ペスカトーレ、ボロネーゼ、ビビンバ、まぜそば、若鶏のグリル…と、お弁当の一品というよりも、しっかりメインのおかずとなりそうなものが増えています。

昨今、忙しい共働き世帯や、家での調理が億劫になりがちな高齢世帯、単身世帯の増加により、簡単で即食べられる冷凍食品がかつてないほどに脚光を浴びているようです。たしかに、コンビニやスーパーの冷凍食品売り場は以前より拡大していますし、冷蔵庫のほかに、冷食専用の冷凍庫を購入する人も増えています。

冷凍食品の味や品質が劇的に向上したのも冷食人気を過熱させています。2022年の8月に松屋が銀座店の地下2階に冷凍食品売り場「ギンザフローズングルメ」を開設したのは、冷食がグルメ食品であると認識させられる出来事でした。

さらに販売経路の変化も冷食の拡大を後押ししています。街角で冷凍食品の自動販売機を見かけませんか? わたしがよく行く餃子屋さんの店頭にも餃子の自動販売機が置いてあり、テイクアウトしたい人が買っていくようです。おそらく人手不足対応なのでしょう。

日本自動販売システム機会工業会によると、22年末の食品自動販売機(即席麺、アイスクリーム、冷凍食品など)の普及台数は、前年比7%増の7.7万台と増加傾向にあります。


上方修正の期待

冷凍食品の最大手といえばニチレイ(2871)です。実際、冷食の好調が数字に反映されているか確認しましょう。

画像:ニチレイ「決算短信

10月31日に発表された2024年3月期の第2四半期決算は、①売上高332,211(百万円)、②前年比3.2%、③営業利益17,398(百万円)、④前年比18.3%と非常に堅調です。

画像:ニチレイ「決算説明会資料

決算説明資料を見ると、冷凍食品が含まれる加工食品事業が利益を牽引するドライバーになっていることがわかります。

となると二匹目のどじょうで狙いたいのがニップン(2001)です。当社が販売しているワンプレート冷食、よくばりシリーズには、「炊き込みご飯&麻婆茄子」「あさりご飯&さばの味噌煮」「しそひじきご飯&チキンカツみぞれ煮風」といった、主食とおかずがセットになったものが多く、栄養バランスが偏りがちな単身世帯で重宝されているようです。現在、ニップンのよくばりシリーズは、ワンプレート冷食市場のシェア6割をしめています。

8月4日に発表された24年3月期の第1四半期決算では、冷凍食品の値上げ効果に加え販売数量が伸びたことで、営業利益は前年同期比で2.1倍と絶好調でした。通期予想に対する進捗率は、すでに43%と高かったため、第2四半期決算発表のタイミングで上方修正が期待できます。決算発表は11月7日予定なので、この記事がアップされるときには、引き続き好調であることが確認できるでしょう。

カニカマが脚光を浴びる

簡便・即食を好むのは日本人だけではありません。じつは最近、簡便・即食に加え、さらに健康需要にも対応する食品として脚光を浴びているのが、はんぺんやさつま揚げといった練り物です。その中でもとくに注目されているのが「カニカマ」。節約志向が高まる中、高価なカニの風味をリーズナブルに食べられることやたんぱく質が豊富に含まれているためプロテインの代替品として、日本だけでなく海外でも人気が高まっています。

画像:紀文食品「2024年3月期 第1四半期決算説明資料

カニカマを含む練り物製品の最大手・紀文食品(2933)の直近の決算説明資料をみても、カニカマが来ている状況がお分かりでしょう。

画像:紀文食品「2024年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)

8月14日に発表した24年3月期第1四半期決算では、練製品の回復で、営業利益は①前年赤字から②黒字へと転換しています。第2四半期の決算発表は11月14日なので、こちらも楽しみです。

※本記事は投資助言や個別の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資にあたっての最終決定はご自身の判断でお願いします。

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