女性だまされ50万円消える…電話した詐欺師、25人で共同生活 「かけ場」と化したカンボジアの8階建てアパート 日本へ移送中チャーター機内で逮捕、被害は数億円超か 指示役や現金受取役など実態解明へ

カンボジアで拘束の25人、移送し逮捕 詐欺容疑

 カンボジアの首都プノンペンで特殊詐欺の拠点とみられるアパートが摘発され、日本人グループが現地当局に拘束された事件で、埼玉県警などは8日夕、詐欺と詐欺未遂容疑で逮捕状を取得していた男25人を現地から日本へ移送した。チャーター機内で逮捕した。捜査関係者によると、グループによる被害は北海道や京都など8道府県で、少なくても数億円に上るという。今後、さらに被害額は膨れ上がる可能性が高く、県警などが捜査を進める。

 捜査関係者によると、移送された25人は20~42歳の男でいずれも日本人。共謀の上、8月ごろ、北海道の女性=当時(70)=に老人ホーム職員などを名乗り、「入居権が当たった」とうその電話をかけ、「記憶にない」などと応じた女性から名義貸しトラブルの解決金名目で現金45万円と電子マネー5万円分をだまし取ったなどの疑いが持たれている。指示された女性は現金を都内のアパートの空き部屋にレターパックで郵送していたという。

 県警はプノンペンで特殊詐欺の電話をかける「かけ場」があるとの情報を複数入手し北海道警と合同で捜査していた。9月11日には情報提供を受けたカンボジア国家警察が活動拠点の8階建てのアパートを捜索、日本人の男25人を拘束した。男らは共同生活を送りながら、詐欺電話をかける役の「かけ子」として日本に繰り返し詐欺電話をかけていたとみられている。

 捜査関係者によると、かけ場となっていたアパートからはスマートフォン数十台やパソコン、電話をした時間や相手など犯行状況を記した手書きのメモが発見された。他に指示役や日本国内で現金の受取役も存在するとみられ、県警などが組織の実態解明を進める。

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