初代“アベレージ王”決定。新設された『ウイングフット・アワード』年間賞はフィリペ・アルバカーキの手に

 11月4日にバーレーン・インターナショナル・サーキットで行われたWEC世界耐久選手権第7戦『バーレーン8時間レース』。LMP2クラスのシリーズタイトル争いは、終盤の大逆転でこのレースでも勝利を収めたチームWRT41号車が制したが、今年LMP2に新設された“もうひとつの”年間優勝は、ユナイテッド・オートスポーツ22号車フィリペ・アルバカーキの手に渡った。

 アルバカーキが受け取ったトロフィーは『グッドイヤー・ウイングフット・アワード』。2023年からLMP2クラスに新設されたアワードで、ドライバー別に連続する2スティントの平均ラップタイムを算出、レースごとに最優秀者にトロフィーが贈られるとともに、ポイント積算により年間でのタイトルも争うというもの。

 これは耐久レースで重要視される『安定して速い』ドライバーを明らかにするという試みであり、予選でのいわゆる“一発のタイム”の対になる指標とも言える。LMP2ではシャシー、エンジン、タイヤがワンメイクとなっていることも、こういった形での競争が成り立つ背景となっている(シャシーは指定された4コンストラクターが参入可能だが、2023年のWECに年間エントリーしたのはオレカのみ)。

 なお、平均タイムの算出にあたっては、セーフティカーやFCY(フルコースイエロー)中のラップは除外される。

 第6戦富士で平均ラップ最速となったアルバカーキは、WRTのロバート・クビサと同ポイントで並んで最終戦に入っていたが、バーレーンでのアベレージではアルバカーキが2位、クビサが5位となり、アルバカーキが年間表彰を受けることとなった。

 また、この第7戦のレースで平均タイムが最速だったのはインターユーロポル・コンペティション34号車のアルベルト・コスタだった。彼は1分56秒96と、アルバカーキよりも0秒172速い数字を残している。

 アルバカーキがウイングフット・アワードに輝いたことにより、チームには決勝翌日に行われたルーキーテスト用に、グッドイヤーのLMP2タイヤ3セットが贈られた。

「フィリペ・アルバカーキの、2023年のLMP2シーズンでの素晴らしい活躍を讃える。最終戦では、彼とクビサ、どちらに軍配が上がるか分からない戦いとなったが、この賞がレースに新たなレイヤーを加えられたことを嬉しく思う」 とグッドイヤーのモータースポーツEMEAディレクター、ベン・クローリーは述べている。

「また、LMP2の年間タイトルを獲得したクビサと、チームWRTのチームメイトであるルイ・デレトラズとルイ・アンドラーデも讃えたい」

 なお、2024年のWECではLMP2クラスが廃止されるが、新たにグッドイヤーがタイヤを供給するLMGT3クラスで、ウイングフット・アワードは継続される予定だという。

ユナイテッド・オートスポーツの22号車オレカ07・ギブソン
優勝した41号車オレカ07・ギブソン(ルイ・デレトラズ/ロバート・クビサ/ルイ・アンドラーデ組) 2023年WEC第7戦バーレーン8時間レース

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