高層15階以上、高さ90メートル想定!さいたま市の新庁舎、162億円増となった事業費400億円に ヘリポートや展望台も 民間施設はオフィス、商業、宿泊施設を想定「もう少し検討を」「予算を超えないで」

さいたま市本庁舎整備審議会で、基本計画(素案)が審議された=8日午前、さいたま市浦和区常盤のときわ会館

 埼玉県さいたま市本庁舎整備審議会が8日、浦和区で開かれ、市は新庁舎整備の概算事業費を総額約400億円と試算し、新庁舎整備等基本計画(素案)を説明した。2021年12月の基本構想段階より約162億円の増額となり、物価高騰による工事単価の上昇などが要因とした。市庁舎は行政部分を高層棟、議会部分を低層棟、民間機能施設を別棟で計画。最上階に展望台を設ける行政棟は高さ約90メートル、15階以上を想定している。

 市は現庁舎(浦和区常盤)から、さいたま新都心バスターミナルほか街区(大宮区北袋町)に、新庁舎を移転整備する方針。市合併30周年となる31年度の早い段階での供用開始を目指すとしている。

 基本計画(素案)によると、新庁舎整備の基本理念・基本方針は、都市づくりの一翼を担う▽市のシンボル▽防災中枢拠点▽ユニバーサルデザイン▽市民交流が行われる―庁舎などとしている。財政負担軽減の観点から、民間施設を民設民営で整備する。

 市庁舎の敷地面積は約1万5千平方メートル、延べ床面積は約5万平方メートル。民間施設の敷地面積は約2300平方メートル。行政棟は展望台のほか、屋上にヘリポートを整備する。議会棟の高さなどは未定。民間施設はオフィス、商業、宿泊施設を想定している。歩行者用デッキの整備も示され、デッキ上に市民広場、デッキ下に駐車場を整備する計画。

 概算事業費は、調査・設計費が約20億円、建設工事費が約366億円、移転費が約10億円などで総額約400億円と試算した。

 審議会では、複数の委員から事業費について、「工事費が高いのは時代の流れとはいえ、もう少し検討を」「市民の要望に応えながら、予算を超えないように着地してほしい」との指摘が相次いだ。市都市経営戦略部の担当者は「災害対応、にぎわい創出など必要な投資と考えている。できる限り精査をしながら、削減に努めていく」と答えた。

 審議会の沢井安勇会長は会議後の取材に、「新型コロナウイルスやITなど新しい要素が盛り込まれ、具体的なイメージとして提案された。一歩も二歩も前に進んだと感じる」と述べた。事業費の高騰は「日本社会全体の問題。極力費用を抑える努力をしてもらうしかない」と話した。

 市は市議会12月定例会に基本計画(素案)を報告し、パブリックコメントを実施。審議会の答申を受けて、23年度末に基本計画の成案を策定し、24年度から基本設計に着手する。建設工事の期間は3年を想定している。

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