蕪島(青森・八戸市)のウミネコ成鳥、天敵被害8割減る わな設置前倒し奏功

 八戸市教育委員会は8日、同市のYSアリーナ八戸で開いた蕪島ウミネコ繁殖地緊急調査検討会議(幸丸政明会長)で、今年4~8月にキツネや猫などの天敵に襲われて犠牲になったウミネコの成鳥が109羽だったと明らかにした。昨年の535羽から約8割減少し、市教委は「わなの設置を早め、設置期間を延ばしたことが要因と考えられる」としている。

 市教委社会教育課によると、わなの設置は例年5月の大型連休前だったが、昨年は5月9日と遅く、成鳥の被害が増えた主因とされていた。

 これを受けて市教委は今年、わなの設置開始を4月3日に前倒しして期間も3週間近く延ばした。5月1カ月間の成鳥の被害は、昨年が476羽だったが、今年は52羽まで減った。天敵の捕獲数は昨年の3匹に対し、今年は6匹だった。

 会議ではこのほか、八戸工業大学の鮎川恵理准教授が、4月から島内の調査区21カ所で進めている環境調査の中間報告を行った。来年2月中旬ごろに、最終報告書を市教委へ提出する予定。幸丸会長は取材に「(今後も)地道に天敵の侵入に対応しなければいけない。調査結果が出ていない部分もあるので、調査の推移を見守りながら(保存活用)計画を立てていく」と話した。

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