豊田合成スコーピオンズ、今シーズンを最後にB3リーグ退会——来シーズンはB1・B2・B3全クラブがプロに

B3リーグに創設初シーズンから参戦してきた豊田合成スコーピオンズ(ホームタウン: 愛知県稲沢市、清須市)が、今シーズンを持って活動を終了しB3リーグを退会することを、11月8日にクラブ公式サイトで発表した。リリースの文面では「B3リーグを含めた新リーグ構想が検討されている中、豊田合成はプロクラブ化を断念し、2023-24シーズンを最後としてB3リーグでの活動を終了することと致しました」と背景が説明されている。ソーシャルメディアには、多くのファンやプレーヤー、ライバルクラブから名門クラブの退会を惜しむ反響が広がった。

スコーピオンズは1980年に豊田合成バスケットボール部として創部。スタートは愛知県実業団連盟10部からであり、2016-17シーズンからは新たに誕生したB3リーグに加わった。2022年にアイシン アレイオンズが退会したB3リーグにおいて、スコーピオンズは唯一企業形態のクラブ。B3リーグが2021年4月20日のリリースで、新規入会を2022年7月1日までの申請を最終とし、再開時期を「今後検討」と発表しているため、スコーピオンズの退会により、2024-25シーズンからはB1からB3まですべてのクラブがプロということになる。

今夏のFIBAバスケットボールワールドカップ2023で男子日本代表がパリオリンピック出場権獲得に成功した後、10月に開幕したBリーグでも記録的な盛況が続いている。一方で豊田合成は、親会社の経営基盤も8月に第1四半期としての過去最高益が報じられるなど力強く、チームも成績不振にあえいでいるような状態でもない。新リーグ構想における審査期間となる今シーズン、プロスポーツとしての発展ぶりが強く感じられ始めている一方でのスコーピオンズのB3リーグ退会は、企業スポーツの在り方が男子バスケットボール界では一つの節目を迎えたことを、あらためて実感させる出来事と言えそうだ。

スコーピオンズは今シーズン、現時点で5勝5敗と健闘しており、プレーオフ進出を十分狙える位置にいる。昨シーズンは半ばまで苦戦したが、レギュラーシーズン終盤の10試合で7勝3敗と挽回して23勝29敗[勝率.442]の8位に食い込み、プレーオフ進出を果たした。最後の7勝には、同シーズンのB3王者となった岩手ビッグブルズに対する2連勝も含まれていた。

歴史のフィナーレとなる今シーズンはどんな形で締めくくられることになるだろうか。リリースには「皆さまの記憶に残ることができるようにクラブ・チームとして戦ってまいります」という言葉もつづられている。

© 日本文化出版株式会社