WorldRX最終戦香港でコチュリンスキーが世界選手権デビュー。KMSの3台目で“絶対王者”と共闘へ

 今週末、香港はセントラル・ハーバーでの初開催イベントにて最終戦を迎える2023年のWorldRX世界ラリークロス選手権に向け、今季もワンメイク電動オフロード選手権『エクストリームE』での活動と並行し、ステップアップラダーである『FIA RX2eチャンピオンシップ』に挑戦したミカエラ-アーリン・コチュリンスキーがゲスト参戦し、世界戦デビューを飾ることが決定。

 シリーズに君臨する“絶対王者”ヨハン・クリストファーソンとオーレ・クリスチャン・ベイビーとともに、強豪フォルクスワーゲン・ディーラーチーム・バウハウの3台目のラインアップに加わる。

 そのクリストファーソンとはエクストリームEでのチームメイトを務め、世界選手権に出場するKMSのチームと密接な関係にあるチームEから今季のRX2eに参戦するなど、すでにチームにもクルマにも精通している30歳のコチュリンスキーは、ラリークロスの経験が豊富な同郷スウェーデン出身のニルス・アンダーソンや、アイザック・シェクヴィストらに挑み、初挑戦のRX2e最終戦でタイトル戦線の輪に加わった。

 既報のとおり、現在のWorldRXは今季7月のイギリス・リデンヒルで発生した火災事故の原因究明を優先し、電動最高峰クラス“RX1e”の開催休止が続いていたが、前戦南アフリカ・ケープタウンで開催のダブルヘッダーより「シリーズ再開」が宣言され、車両もRX2e用の『ZEROID X1』を採用。WorldRX史上初となる同一車種での勝負が繰り広げられた。

 つまり初開催の香港ダウンタウン戦で世界選手権デビューを飾るコチュリンスキーにとっては、誰にとっても未知のトラックや、年間を通じて習熟した電動ワンメイクマシンなど、環境的にビハインドが減る条件が整う。

「もし今年の初めに、香港での世界選手権ファイナルでKMSのクルマをドライブできるなんて、誰かが私に告げていてもまったく信じなかったでしょうね(笑)」とカールスタッド出身のコチュリンスキー。

ワンメイク電動オフロード選手権『エクストリームE』ではロズベルグXレーシングでヨハン・クリストファーソンの僚友を務める
今季はステップアップラダーである『FIA RX2eチャンピオンシップ』にも挑戦し、徐々にプログラムを拡大していった

■未知の環境に「全力を尽くす」とコチュリンスキー。代表も期待

「WorldRXに参戦し、最高のチームの一員になれるのは夢が叶ったようなもので、本当に素晴らしいことね! ヨハンとオーレ・クリスチャンがベルギーで(シリーズ休止中のエキシビジョンとして)RX2e車両をドライブしたとき、一緒に仕事をするのが本当に楽しかった。今後もこのコラボレーションを継続し、チーム内の信じられないほど才能あるエンジニアやメカニックたちと協力できることを楽しみにしている」

 すでにWorldRXでは、昨季のポルトガルで開催された1戦で同郷のクララ・アンダーソン(CEディーラーチーム・バイ・ボルボ・コンストラクション・イクイップメント)が表彰台に上がっており、彼女も香港でその記録に挑戦することになる。

「こんな状況で初めて何かに取り組むとき、自分の目標が何であるかを言うのは難しいわね」と、決勝日翌日に誕生日を迎えるコチュリンスキー。

「RX2eで慣れていたものよりも、もう少しクルマのパワーが増すようだし、サーキットは誰にとっても新しい未知の環境になるでしょう。都心のイベントはとてもクールだし、以前にもこのタイプのトラックを楽しんだことがある。 もちろん全力を尽くすつもりよ」

 KMSのチーム代表を務める“ヨハンの父”トミー・クリストファーソンは、元TCRスカンジナビア(STCCスカンジナビアン・ツーリングカー選手権)年間ランキング2位の準優勝者が、同様の成績を収める可能性は「充分にある」と信じている。

「彼女を招聘することで、こうして世界選手権シーズンの素晴らしいエンディングに貢献できてとてもうれしいね」と続けたトミー代表。「我々はミカエラのポテンシャルを、電動レイドのエクストリームEとシリーズ直下のRX2e、その双方で見てきた。そこで彼女は力強い成長を見せており、我々もタイトルを獲得したSTCCでの彼女の戦果もよく知っている。私はこの機会をミカエラの能力を発揮するチャンス、つまり来季への出発点だと考えているんだ」

「もし今年の初めに、香港での世界選手権ファイナルでKMSのクルマをドライブできるなんて、誰かが私に告げていてもまったく信じなかったでしょうね(笑)」とコチュリンスキー
香港でもRX2e用の『ZEROID X1』を採用。WorldRX史上初となる同一車種での勝負が繰り広げられる

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