アユ狙い上空からダイブ! 和歌山県の準絶滅危惧ミサゴ、白浜町の富田川で

鋭いかぎ爪を頭の前に突き出して水に飛び込むミサゴ(8日、和歌山県白浜町十九渕で)

 和歌山県白浜町を流れる富田川の下流域で、県のレッドデータブックで準絶滅危惧に選定されているタカの仲間「ミサゴ」が産卵のために集まったアユなどを狙い、上空から川へ飛び込んでいる。魚を好んで狙うことから「魚鷹(うおたか)」とも呼ばれるハンター。水しぶきを上げながら、迫力の狩りを繰り広げている。

 県立自然博物館(海南市)によると、ミサゴはタカ目ミサゴ科の鳥。翼を広げた大きさはよく見かけるトビと同じくらい(1.6~1.7メートル)だが、翼が細長くて尾が長く、下面は白い羽色が目立つのが特徴。日本では北海道から沖縄県で繁殖する。

 海岸や大きな川など水辺に現れ、上空を飛んだり、高い場所に止まったりしながら魚を探す。獲物を見つけると、頭を下げて鋭いかぎ爪のある脚を前に突き出した体勢で水に突っ込んで魚を捕らえるが、いつも成功するとは限らない。手練れのミサゴは、日の出すぐの魚の活動が鈍い時間に狩りを始めるという。

 下流域に当たる白浜町十九渕辺りの富田川では、富田川漁協がアユの産卵場を整備し、かかしを立てたり、ロープを張ったりしてアユの群れをウの食害から守っている。

 毎年この場所で撮影を続けている田辺市秋津町の宮本和也さん(81)によると、ミサゴは下流や上流から現れ、上空で獲物に狙いをつけて川に飛び込んでいる。今年は7日に撮影を始め、2羽のミサゴを確認した。12月中ごろまで撮影に挑戦する予定という。

 宮本さんは「ダイナミックな野生の迫力や生命力を感じる。川に飛び込んだり、獲物を捕まえて飛び上がったりする瞬間の撮影は難しいが、うまく撮れたらうれしい」と粘り強くシャッターチャンスを狙っている。

アユをつかんで飛び立つミサゴ(8日、和歌山県白浜町十九渕で)

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