ウミガメのふ化率29% 和歌山県みなべの浜、今季も低調

アカウミガメの卵のふ化状況を調べる日本ウミガメ協議会の職員ら(和歌山県みなべ町山内で)

 和歌山県みなべ町山内にある千里の浜に産み落とされたアカウミガメの卵のふ化率が今季、29.1%で昨季に続いて低調だった。調査したNPO日本ウミガメ協議会の職員は「50%はいってほしかった。産卵数も少なかったので、今後の回復を期待したい」と話している。

 協議会によると、千里の浜で今季に確認されたアカウミガメの産卵は、6月中旬~8月中旬で31回。昨季より18回少なく、調査を始めた1981年度以降、2021年度と並び過去2番目の少なさだった。

 この31カ所の産卵場所を、協議会の職員やボランティアらが8月下旬~11月初旬に5回に分けて調査した。2カ所が確認できなかったため、29カ所でのふ化状況をまとめた。

 合計で3378個の卵があり、そのうちふ化したのは982個で、ふ化率は29.1%。1カ所当たりで最も高いふ化率は94.7%だった。ほぼ半分の15カ所が全くふ化していなかった。

 産卵をウミガメの個体別にみると、産卵した個体は13匹。そのうち2匹が4回ずつ産卵しているが、いずれも未受精だった。交尾が不十分だったとみられるという。

 産卵の場所別にみると、浜の南側の区間の5カ所のうち4カ所で全くふ化していなかった。雨が降ると砂の中に水がたまることから、水没した可能性があるという。

 千里の浜でのふ化率調査は、本格的には21年度から始めた。21年度は51%、昨季は25.4%。今季は昨季より少し高かったが、低調な状況は変わらない。協議会の松宮賢佑事務局長(37)は「産卵が少なかった上にふ化率が低かったので気になる。ふ化率が低かった要因は、カメそのものと浜の状況が影響することが考えられる。今後、個体ごとのふ化率を見てデータを集め分析できればと思う」と話している。

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