【リニア・水問題】“田代ダム案”について慎重姿勢崩さぬ静岡・川勝知事「流量だけですべてが解決したかのごとく言われているのは全く誤り」

(川勝知事)

「流量だけですべてが解決したかのごとく言われているのは全く誤り」

9日の会見でも「田代ダム案」について慎重な姿勢を示した川勝知事。トンネル工事に伴い、大井川の水量減少が懸念されている問題で、JR東海が解決策として提示しているのが、大井川上流にある「田代ダム」の取水を抑制して、大井川の水量を確保する案です。この「田代ダム案」をめぐっては、6月からJR東海とダムを管理する東京電力の間で実現に向けた協議が行われてきましたが、10月、JR東海は、この協議がまとまったとして、「田代ダム」を活用した具体的な実施案を発表。

実施案では、JR東海が1週間単位で県外に流出した水の量を測定し、東京電力は、その翌週に、田代ダムの取水を抑制するなどとしています。その上で、JR東海は県に対し、利水関係者などで構成される「協議会」に了解を求める要請書を送っていました。

大井川の水問題解決に向けて大きな前進を見せた田代ダム案。この動きに以前から田代ダム案を支持していた大井川流域市町からは、歓迎の声が…。

(島田市 染谷 市長)

「JR東海と東電の協議が成立したと伺って大変うれしく思っている。できるだけ早く利水関係者の了解が得られるように期待している」

(藤枝市 北村 市長)

「実現できれば流域地域とJR東海の双方にとって大きな成果だと思う」「工学的、科学的に基づき田代ダム案が有効だという話がまとまってきた。大きな一歩だと思う」

こうしたなか、川勝知事は9日の会見で「速やかに協議会の意向を確認する」と話しました。

(川勝知事)

「流域の市長がおおむね異論はないと発言されているのは承知しているが、大井川利水関係協議会として了解するためにはすべての会員の了解が必要」

一方で、「田代ダム案の実現で水問題が解決されるわけではない」ともとれる発言も…。

(川勝知事)

「(田代ダム案によって)水資源に影響がないということは、極めてがい然性としては低い。強い懸念を持っている」「10か月分流れた水は戻ってこない。それが水資源に影響がないと断言するのは難しい」

記者から「田代ダム案の具体案が示されたことは前進と捉えているか?」と聞かれると言葉を濁し、明言を避けた川勝知事。田代ダム案への慎重な姿勢を崩しませんでした。

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