ガザ侵攻の裏で「ウクライナ」の今 激しい戦争の爪痕 ジャーナリスト西谷文和さんが現地取材

テレビ愛知

パレスチナ情勢が深刻化するなか、ジャーナリストの西谷文和さんが10月、ウクライナを取材しました。今回、西谷さんは、ウクライナの南部・ヘルソンとリビウを訪問。ヘルソンでは、今もウクライナとロシアの間で、激しい戦闘が続いています。

破壊された窓ガラス

西谷さん:
「ヘルソンに着きました。8日の晩にロシアのミサイルがこの店にあたり、割れた窓ガラスを運び出しています」

ロシアのミサイルが着弾した建物内部に入ると、全て窓が破壊されていました。西谷さんが住民に話を聞くと、8日深夜に攻撃があったといいます。

住民

住民:
「ブラート砲で中に小さい金属片が入っていて、爆発で飛び散ったんだ」

幸い、住民に大きなけがはありませんでした。

シェルター

ヘルソン市内のバス停にはシェルターが設置されています。シェルター内は電気が通り、スマートフォンも充電可能です。

この日、ヘルソン市内を歩くと砲撃音が聞こえました。

通訳:
「砲撃音が聞こえるたびに心臓が飛び出しそう」

西谷さん:
「ロシアが何発もミサイルを撃ってきます。そのたびにウクライナが迎撃しているので、爆発音が何回もしますが人々は逃げようとしません。ここでは戦争が日常になっています」

ヘルソンの中央市場

次に西谷さんが向かったのは、ヘルソン市内の市場です。3カ月前のロシアのミサイルにより、多数の方が亡くなったといいます。市場のシューズショップの前には大量の空き箱が散乱。建物上階の窓はガラスが全て割れていました。

テレビ塔を倒して通信を途絶えさせた

テレビ・ラジオ・インターネット、すべての基地だったテレビ塔

ヘルソン市内の公園を歩くと大きな塔が見えました。

西谷さん:
「テレビ塔です。ヘルソンはロシアが占領していました。2023年9月14日にウクライナが取り返してロシアが逃げていくときに、テレビ塔を倒していったのです。このテレビ塔はテレビ・ラジオ・インターネット、すべての基地だったので、これを倒して通信できないようにしました」

ヘルソン市内の小学校

ロシアの面影は、ヘルソン市内の小学校にもありました。敷地内に教科書が散らばっています。

西谷さん:
「校内には子どもたちのランドセルが残っています。この小学校はロシア軍が宿舎として使っていました。ロシア兵がこの小学校に滞留していたときに、ウクライナ軍がハイマースで攻撃してロシア兵を全て殺してしまいました」

小学校の黒板に書かれた痛ましい数字

黒板

黒板にはロシア兵が書いた文字が残されていました。

通訳:
「『37人のウクライナ人を殺した』と書いてあります」

リビウ市の墓地で出会った1人の女性

娘が作ったメダルを亡き父にプレゼント

リビウ市内のウクライナの墓地に出向きます。そこには無数の兵士の墓地が建っていました。

西谷さん:
「1986年6月26日生まれ、2022年8月3日に(36歳で)亡くなりました」

墓地で出会った女性は、弟をザポーリージャのロボティネで亡くしたといいます。取材した日は、亡くなった男性の娘の9歳の誕生日。娘が手作りしたメダルが、父の墓地に飾られました。

死者数増加を見込んで土地を確保か

この日も葬儀が行われていた

西谷さん:
「この墓地に眠る兵士はリビウ市内だけ。キーウやハルキウを合わせると、膨大な数の兵士がなくなっています。特に若い方が多く、最近亡くなっています。

墓地にはまだ手つかずの土地があります。リビウ市としてはまだまだ(死者数が)増えるだろうと考え、広い土地を確保しているのだと思います」

墓地ではこの日も、兵士の葬儀が行われていました。

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