北海道新幹線 札幌延伸の現状は?地下トンネルに潜入

今回のテーマは“北海道新幹線”。2030年度末を目途とする札幌延伸が近づく中、工事が進められている地下のトンネル現場にカメラが潜入。現状を探った。

【トンネル工事現場最前線 シールド工法って?】

北海道新幹線の新函館北斗駅から札幌駅までの全長は212キロ。そのうち約8割、169キロはトンネルだ。現在掘削率は70%ほどで、2030年度末の完成を目指し進んでいるという。今回取材した札樽トンネルは最も札幌駅に近いトンネルで、全長26.2キロ。このうち札幌側8.4キロの工事が札幌工区で行われている。

工事現場は地上から30メートルほど降りた場所。横から見ると、縦の穴と横の穴が組み合わさった形になっている。

ここで活躍するのがシールドマシンという機械。先端のカッターヘッドをゆっくりと回転させながら地山を削り、同時に削った土砂を機内に取り込むことができる優れモノ。削った後はセグメントと言われるコンクリートで地山を支える仕組みだ。このシールド工法を整備新幹線の工事で採用するのは初めて。

平日はほぼ24時間稼働。現在は100人ほどが工事に携わっているという。来年2月ごろから札幌方面への掘削を開始。おおむね1カ月で200メートルから300メートル掘り進め、3年後には掘削が完了する見通しだ。

【新駅設置 自治体の動きは】

渡島の長万部町。先月、北海道新幹線の工事を担当する鉄道・運輸機構の幹部が、新幹線の長万部駅のデザイン案3案を決め、町へとやってきた。駅は津波の影響を受けないよう高架駅となる。町は、これをきっかけに現在の駅前通りの幅を両側3メートルずつ広げ、併せて街並みを一新しようと計画している。

今後、工事の準備に合わせ商業施設など新たに必要になる機能についても検討を深めていく方針だ。

後志の倶知安町にも新幹線の駅が新たに置かれようとしていて、現在は高架橋の工事が進んでいる。そして、今後注目されるのが民間資本による開発の動き。開業後は札幌からの所要時間がわずか25分になるため、観光地や居住地としての需要が大いに高まるとみているが、町は過度な開発は望んでいないという。

倶知安町の文字町長は「ふるさとのシンボル羊蹄山がビルばかりで見えなくなったら嫌だという思いがあるので、建物については羊蹄山の3分の1まで」と話す。民間の開発は重要視しているが、景観を損なうことのないような整備を事業者に働きかけていく方針だ。

【函館・大泉市長に聞く 新幹線の重要性】

札幌延伸に合わせた北海道新幹線の函館駅乗り入れを公約に掲げているのが、
就任から半年を迎えた大泉市長だ。なぜ函館駅への乗り入れが必要なのか。

「東京からすぐに函館に来られる、あるいは函館から乗り換えなしで東京に行けることももちろんあるし、同じぐらい重要と思っているのは、札幌と函館という大動脈が直結すること」と語る大泉市長。現状、北海道新幹線で函館駅まで行く場合は
新函館北斗駅で乗り換える必要があるが、乗客の利便性という観点からは函館駅までの直通が最善と考えた。現在、乗り入れが実現可能か調査中だ。

周辺の観光にも大きな効果が生まれると見る。調査の結果は来年3月末までに出てくる見通しだ。

(2023年11月11日放送 テレビ北海道「けいナビ~応援!どさんこ経済~」より)

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