首相構想を閣僚らが公然と批判、まるで「ダメ会社」 岸田内閣の混迷深く

岸田文雄首相(資料写真)

 神田憲次財務副大臣の税滞納問題が新たに浮上するなど、岸田文雄内閣の混迷ぶりがいよいよ深刻になってきた。首相の構想を閣僚や与党重鎮が公然と否定し始め、まるで「部下が社長を見放すダメ会社」(自民の閣僚経験者)の様相だ。

 「議員の仕事が多忙で…」。9日の参院財政金融委員会で神田副大臣は滞納理由を釈明した。追及した立憲民主党の勝部賢志氏は「議員は納税しなくていいの? あなたは税理士でしょ」と声を荒らげ、鈴木俊一財務相ら答弁席は重苦しいムードに包まれた。「増税・減税の次は納税(問題)とは」「法を守らぬ(柿沢未途)法務副大臣、納税さぼりの財務副大臣、不倫の(山田太郎)文部科学政務官。とんだ適材適所だ」。与党の議員からすら人事ミスへの怒りの声が上がる。

 不満は人事にとどまらず多方面に及ぶ。8日の衆院財政金融委員会では鈴木財務相から「還元財源使い切り論」(自民政調関係者)が飛び出した。立民の階猛氏から首相が打ち出す「還元」の真意を問われ「税収の増えた分については政策経費、国債の償還などに使い切った。減税をするとなると国債の発行をしなければならない」と国庫に減税の“タネ銭”はなく、新たな借金が必要であることを明かした。

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