〔国内〕2023年10月の災害を振り返る

2023年10月に発生した国内での大規模な災害、事故・事件の案件について振り返ります。

※被害の内訳については、原則的にレスキューナウによる情報取りまとめ時のものです。それぞれの記事の最終更新日以降の状況については反映されていないことがあります。

●10月
【自然災害】鳥島近海を震源とする地震で津波注意報発表
[被害]八丈島と神津島で複数の小型船が転覆
2023年10月2日から、伊豆諸島の鳥島近海を震源とする地震活動が続いていた中、5日11:00頃と9日05:25頃に発生した地震に伴い、気象庁から津波注意報が発表された。
5日はM6.5の地震を受けて伊豆諸島に津波注意報が発表され、八丈島の八重根で30cmの津波が観測された。一方、9日は地震の規模は不明だったものの、津波による潮位の変化が観測されたことから、津波注意報が伊豆諸島や小笠原諸島をはじめ、千葉県や高知県、宮崎県、鹿児島県の沿岸部に相次いで発表され、各地で10~60cmの津波を観測した。
いずれの津波とも人的被害はなかったものの、9日に発生した津波の際は、八丈島と神津島で複数の小型船が転覆する被害があった。また、千葉県の12市町村の一部地域、高知県の5市の沿岸部に避難指示が発令されたほか、千葉県内を走行するJR内房線、外房線の一部区間で一時運転を見合わせるなど、交通機関にも影響が出た。
なお、20日に鳥島の西方海上で軽石が浮遊しているのが発見されたことや気象庁や研究機関などによる津波の波形の分析などから、9日に発生した津波が火山活動によるものとの見方も出ている。

【その他】全国の銀行間取引を担うシステムに障害発生
2023年10月10日08:30頃、「全国銀行データ通信システム」(通称:全銀システム)に不具合が発生した。このシステムは、国内にある金融機関の間で資金をやりとりする際に使用するもので、今回のシステム障害では大手都市銀行を含む11の金融機関に影響が発生した。影響は他の銀行への振込み遅れや取引の受付制限などで、翌11日中まで続いた。このうち、振込みが遅れた取引は、のべ500万件以上にもなった。
全銀システムは1973年4月に運用を開始したシステムで、現在は国内にあるほとんどの金融機関が参加しており、1営業日あたり10兆円以上の取引がこのシステムを介して行われている。今回のシステム障害は、10月7日から10月9日までに行われた中継コンピューターの更新作業により、取引の際に生じる手数料を管理するデータベースの一部が破損したために発生した。今後、全銀システムを運営する「全国銀行協会」および「全国銀行資金決済ネットワーク」はデータベースの破損原因のさらなる特定を進めていくこととしている。

【事件】埼玉県戸田市と蕨市で発砲事件と立てこもり 容疑者自宅アパートへの放火も
[被害]負傷者2人 人質2人
2023年10月31日13:15頃、埼玉県戸田市本町の戸田中央総合病院で、男が病院外の道路から診察室に向け拳銃のようなもので発砲し、医師と患者の男性2人が負傷した。またこの15分ほど前には戸田市新曽のアパートから火災が発生し、3階建てアパートが全焼した。
発砲事件の約1時間後、隣接する蕨市の蕨郵便局に男が押し入り、職員の女性2人を人質に取り立てこもった。男はガソリン18Lや刃物2本、複数の銃弾を所持した上で特定の郵便局員の名を挙げて面会を要求した。人質が説得による解放や犯人の隙をついて脱出した後、22:20頃に警察が突入、逮捕された。
男は取り調べに対し、病院への不満や郵便局と交通事故を巡るトラブルがあり発砲や立てこもりを起こし、発砲前には自宅アパートへの放火も行ったと供述した。また、長年拳銃を所持し、暴力団とも関係していた。

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