〔海外〕2023年10月の災害を振り返る

2023年10月に発生した海外での大規模な災害、事故・事件の案件について振り返ります。

※被害の内訳については、原則的にレスキューナウによる情報取りまとめ時のものです。それぞれの記事の最終更新日以降の状況については反映されていないことがあります。

●10月
【安全保障】イスラエル軍とパレスチナ自治区のイスラム組織が大規模な軍事衝突
[被害]死者1万人以上
2023年10月7日、パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスがイスラエルに向けて3000発以上のロケット弾を発射した。イスラエル軍はガザを空爆するなどしてこれに応酬、戦闘が激化し、11月はじめまでに双方の死者は1万人を超えた。イスラエルは10月9日にガザの電気や食料、燃料を遮断し完全封鎖すると宣言。イスラエル軍は民間人被害を最小限にするため、ガザ北部の住民およそ110万人に対し、ガザ南部へ退避するように通告した。
ハマスの戦闘員により多数のイスラエル市民やイスラエル軍の兵士、外国人が拉致・殺害されている一方、イスラエル軍がガザへの地上進行を計画しており、イスラエル軍とハマスとの間で人質解放や人道物資の運搬をめぐり駆け引きが続いている。ガザでは物資が不足するなど深刻な人道危機に陥っており、ガザとエジプトの境界にあるラファ検問所が同月21日になってようやく再開され支援物資が運び込まれたが、現在も支援は十分には行き届いていない。
日本政府はイスラエル在留邦人の退避を呼びかけ、これまでに韓国軍専用機や日本政府手配のチャーター機、自衛隊機などで100名以上の邦人が避難している。
一方、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラも国境を接するイスラエルに対し砲撃を行い、イスラエル軍がこれに対抗、両者の間で戦闘状態となっている。イスラム組織ハマスはヒズボラにも参戦を呼びかけていた。また、ヒズボラはイスラエルと対立関係にあるイランの影響下にあり、イスラエルと対立してきた。

【自然災害】アフガニスタン西部でM6.3の地震相次ぐ 死傷者多数
[被害]死者1000人以上 負傷者2000人以上 家屋損壊1320軒
2023年10月7日11:11頃(日本時間同日15:41頃)、アフガニスタン西部のヘラート州を震源とするM6.3の地震が発生した。その後、この地域では1週間あまりで最初の地震を含めM6.3の地震があわせて4回発生し、大きな被害が生じた。

<アフガニスタン西部ヘラート州を震源とする地震>〔USGS〕
・10/07 11:11頃(日本時間15:41頃) M6.3 震源の深さ14.0km
・10/07 11:42頃(日本時間16:12頃) M6.3 震源の深さ10.0km
・10/11 05:11頃(日本時間09:41頃) M6.3 震源の深さ9.0km
・10/15 08:06頃(日本時間12:36頃) M6.3 震源の深さ6.3km

この一連の地震で、震源に近いヘラート州の中心都市ヘラートやその郊外のジンダジャンなどで家屋の損壊が相次ぎ、これまでに1000人以上が死亡し、2000人以上が負傷した。この地域の家屋は日干しレンガや泥などでできているため耐震性が低く、震源に近い村では複数の集落でほぼすべての家屋が倒壊や損壊するなど甚大な被害が生じた。
アフガニスタンは、国土の中央部にありインドプレートとユーラシアプレートの境界に近いヒンドゥークシュ山脈周辺で地震が多く発生している。最近では2022年6月にもM5.9の地震があり、この際も1000人以上が死亡している。

【自然災害】メキシコ太平洋沿岸に「カテゴリー5」のハリケーン上陸
[被害]死者46人 行方不明者58人
2023年10月25日00:25頃(日本時間同日15:25頃)、ハリケーン「オーティス」がメキシコ南部に上陸した。上陸時、「オーティス」の勢力は最も強い「カテゴリー5」で、上陸後はゲレロ州にあるリゾート地アカプルコを直撃した。現地では冠水や建物の損壊などの物的被害が発生したほか、ライフラインが被害を受けたことで、通信も一時途絶した。11月1日までにゲレロ州政府がまとめた被害状況によると、人的被害は死者46人、行方不明者は58人にのぼった。また、このハリケーンが去った後、市中では略奪が横行し、自警団を組織する住民も現れた。
「オーティス」は当初勢力が強まる予想ではなかったが、24日に急速に発達。最大瞬間風速は毎秒70メートル以上にも達し、メキシコ太平洋沿岸に上陸したハリケーンとしては最大級のものとなった。

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