奈良県の東吉野村「オープンアトリエ」初開催 制作者31人が作品公開、来場者と交流も

「川の流れや鳥のさえずりを聞いて心が落ち着く」と話すダグラス・ディアスさん=3日、東吉野村小のアトリエMA

 奈良県東吉野村で創作活動を行う制作者31人が村内の店舗や作業場などで作品を同時公開する「はじまりの東吉野オープンアトリエ」(西岡潔・実行委員長)が3〜5日の3日間、初めて行われ、来場者らと交流を深めた。

 同村は約10年前から、若者移住定住施策「クリエイティブビレッジ構想」を推進し、創作活動を行う移住者が増加。もともとの村民も交えた移住者ネットワークが広がり、オープンアトリエの企画が実現した。

 米国ニューヨーク州ブルックリン出身のダグラス・ディアスさん(51)は今夏、同村に移住。アトリエ兼ギャラリーに改修する計画の元製茶工場で、和紙に墨で描いた作品や米国フロリダ州マイアミなどこれまでの滞在地で制作した作品、村内友人作家の作品を並べた。

 にこやかに来場者を迎え、和紙と墨が生み出すアートの面白さや長さ1キロメートルになる制作プロジェクトなどを説明していた。世界各国で制作活動を展開してきたが自然豊かな同村で精神的な平穏を得たという。

 また、同村杉谷のせせらぎクラフトは「東吉野村の川が好き」と移住した女性2人が営む木工所。元カヌースプリント選手の金光藍さん(33)が木製カヌーを手作りする作業場などを公開した。

 ほかにも古民家が生まれ変わった撮影スタジオやカフェ併設の家具工房、廃校になった小学校など計18会場。刀匠河内國平さんの鍛錬場を見学した村内の男性(58)は「ずっと興味があったが初めて見学できた。制作の話も聞けていい機会だった」と話した。

© 株式会社奈良新聞社