2連覇王者離脱のトヨタ、ダカールラリー2024に挑む新クルー4名が決定。体制発表は11月後半に

 11月9日、TOYOTA GAZOO Racing(TGR)は、2024年のダカールラリーに出場する4名の新しいクルーが決定したと発表した。このふたつのペアは、2022年から大会2連覇を果たした『GRダカールハイラックスT1+』のアップグレードバージョンで“世界一過酷”なレースに挑むこととなる。

 シリーズとダカールの両方で連覇を達成した“砂漠の王”こと、ナッサー・アル-アティヤがチームを離れたあと、2024年のダカールラリーおよび同ラリーがシーズン開幕戦となっているW2RC世界ラリーレイド選手権に向け、11月後半にチームの新体制を明らかにする予定のTOYOTA GAZOO Racing。日本メーカーを代表するチームはこれに先立ち、ふたりの新しいドライバーを発表した。

 ルーカス・モラエスはそのひとりだ。32歳のブラジル人は今年1月、“ルーキー”として挑んだダカールラリーでオーバードライブ・レーシングのGRダカールハイラックスT1+を駆り、アル-アティヤ(TGR)とセバスチャン・ローブ(BRX)に次ぐ総合3位を獲得してみせた。また、彼は過去にラリー・ドス・セルトースを2度制し、ブラジル国内選手権は3回、南米ミツビシ・カップでも2回の優勝を記録している。

 プライベーターからワークスに昇格したモラエスのコドライバー(ナビゲーター)を務めるのは、アルマンド・モンレオンだ。スペイン出身のモンレオンは以前、ライダーとしてダカールラリーに出場していた。

ルーカス・モラエス(左)は2023年のダカールラリーで、初参戦ながら総合3位を獲得。TGRでのコドライバーは元ライダーのアルマンド・モンレオン(右)が務める

■最年少優勝記録を持つT3チャンピオンがトップカテゴリーへ

 もうひとつのペアは、新進気鋭のセス・キンテロとドイツ人コドライバーのデニス・ゼンスのふたりだ。10歳でライト・プロトタイプのレースを開始したキンテロは2020年に弱冠17歳でダカールデビューを果たし、翌21年にはデニスと組んで史上最年少ステージウイナーに。また2022年にはT3クラス表彰台を逃したものの13ステージ中、12ステージを制す偉業を成し遂げこの年のW2RCでT3クラスランキング2位となった。

 現在21歳のアメリカ人ドライバーは今シーズンも引き続きデニスとのペアでW2RCを戦い、開幕戦のダカールでは部門2位に終わったものの最後には見事、T3クラスチャンピオンに輝いている。

 来年1月のダカールラリー2024に出場する新しいクルーを発表したTGRは、GRダカールハイラックスT1+の継続的な開発を含め、将来を見据えている。2024年仕様にアップデートされたマシンの詳細は追ってアナウンスされる予定だ。

■ダカールラリーを見据えたテスト参戦

 また、トヨタチームは、約2カ月後にサウジアラビアで開催されるダカールラリーに向けた準備の一環として、両ペアにGRダカールハイラックスT1+でのマイレージを稼ぐ機会を与えるという。キンテロとゼンスは、11月10~13日に行われるドバイ・インターナショナル・バハへの参戦が決定。一方のモラエスとモンレオンは、11月23~25日にサウジアラビアで行われるバハ・カシムに出場することになっている。

「シリーズ初年度のコミットメントから始まったW2RCとダカールの旅を振り返ると、私はとても誇らしく思わずにはいられない」と語るのは、トヨタ・モーター・ヨーロッパのアンドレア・カルッチ副社長。

「2年間のコミットメントを1台のマシンでスタートさせたが、このような結果が得られるとは想像もしていなかった。高い信頼性と堅牢性を証明したGRダカールハイラックスT1+と、ナッサー(・アル-アティヤ)とマシュー(・ボーメル)の卓越したスキルと経験のおかげで、W2RCの最初の2シーズンで完璧な結果を残すことができたんだ」

「現在、我々は、2024年のダカールラリーを皮切りに、FIAのW2RCに対するTGRの継続的なコミットメントを確認する立場にある。さらに“ダカール・フューチャー2026”プロジェクトが掲げる目標に向けて取り組んでいるが、それ以上にふたつの新しいペアをチームに加えることで私たちの取り組みを強化していく」

2023年のW2RC世界ラリーレイド選手権でクラスT3チャンピオンとなったセス・キンテロ(左)とデニス・ゼンツ(右)のペア
TOYOTA GAZOO RacingのGRダカールハイラックスT1+
TOYOTA GAZOO Racingのダカールラリー2024ドライバーラインアップ。セス・キンテロ(中央手前)/デニス・ゼンツ(左)組、ルーカス・モラエス(中央奥)/アルマンド・モンレオン(右)

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