「練上」技法、美しい模様 松井康陽さん陶芸80点 茨城・水戸、15日まで 

「椋灰釉練上大壺」(左手前)と松井康陽さん=水戸市泉町

茨城県笠間市の陶芸家、松井康陽さんの作陶展が9日、同県水戸市泉町の京成百貨店アートギャラリーで始まった。異なる色の土で模様を成す「練上」の技法で生み出したつぼなど約80点を紹介している。15日まで。

松井さんは1962年生まれ。筑波大芸術専門学群彫刻科を卒業後、月崇寺陶房に入った。父で師である人間国宝、松井康成さんから受け継いだ練上の技を基本とし、彩り豊かな作品に仕上げている。茨城工芸会会長も務める。

同店での個展は5年ぶり。会場には新作を中心にした、つぼや香炉、水指、ぐいのみなどが並ぶ。メインの「椋灰釉練上大壺」は深みのある青のグラデーションが目を引く作品。異なる色の土を使い、配置や割合を細かに調整することで、美しい模様やゆらぎを表現しているという。

濃淡を生かした落ち着いた色調が多い中で、今回はパステルカラーにも挑戦した。植物を連想させる丸みのある模様が全体を包んだ作品は、「命あるものを咲かせてみようかと、明るく楽しいイメージで考えた」と語る。

このほか鑑賞用から実用品まで、それぞれが個性を放つ幅広い作品を展示。松井さんは「今が最良と言える作陶を続けたい。若い方には特に、人の手による作品にじかに触れ、感じてほしい」と話した。

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