10日から全国3つの会場で開幕を迎える地域サッカーチャンピオンズリーグ。上位2チームに入ればJFLへと昇格できる重要な大会だ。今年の組み合わせは以下の通りとなっている。
グループA(宮崎会場)
- ヴェロスクロノス都農
- VONDS市原FC
- 栃木シティFC
- FC徳島
グループB(宮城会場)
- FC刈谷
- ブランデュー弘前FC
- 福山シティFC
- FC wyvern
グループC(滋賀会場)
- アルテリーヴォ和歌山
- 福井ユナイテッドFC
- ジョイフル本田つくばFC
- BTOP北海道
そのなかで今回大きな注目を集める存在となっているのが、関西リーグ王者のアルテリーヴォ和歌山。
関西リーグ1部を圧倒的な成績で制し、その後の全国社会人サッカー選手権大会でも準優勝。さらに昨年も同じ大会を戦った選手が多く所属しており、しかも関西会場で試合を行うことができる。
今年こそJリーグやJFLのチームが存在しない数少ない県の一つである和歌山県に大きなステップをもたらすことができるか。本命と言われるこの大会でどんな結果を出せるのか、期待は高まっている。
そして、今回は地域CLの開幕を一週間後に控えた11月3日のKSLアストエンジカップ高砂ミネイロ戦で5-0と勝利したアルテリーヴォ和歌山に直撃取材。大舞台に向けた話を伺ってきた。
「誰もが戦力になれるという自信を持っている」(海津監督)
昨年からアルテリーヴォ和歌山を率いて2シーズン目となる海津英志監督は、2年連続で挑む地域サッカーチャンピオンズリーグに向けて以下のように話した。
――リーグ戦が終わってから全国社会人サッカー選手権大会(全社)、かごしま国体とハードスケジュールでしたが、この1ヶ月半ほどを振り返って?
リーグ優勝が決まってから、最後の地域サッカーチャンピオンズリーグでいい状態に持っていくために進めてきました。
ただ思いの外、全社での戦いがハードだったので、怪我人や疲労感が残る選手、体調不良の者もいます。今はとにかくコンディションを整えることを最優先にしていますね。
うちはフィールドプレーヤー21名、GK3名の計24名でやっていますが、出場機会がなかなか得られなかった選手が全社ではいい結果を出してくれました。
いまは全員が『いつでも全員が戦力になる』という自信を持っていますし、いつ出番が来てもいいという状態にあります。選手たちがこの一ヶ月半で自信をつけて、やることをしっかりやって、あとは思い切って挑むという雰囲気に持ってこられたのは良かったと思います。
――会場となる平和堂HATOスタジアムは新設の会場で、あまり情報がないと思いますが…。
実はリーグ戦が終わった時点で、スタジアムを見に行ったんです。中にも入れてもらって、いろいろ状況を見てきました。
この前に全社で戦った鳥栖(駅前不動産スタジアム)とは雰囲気が似ていました。陸上トラックの有無は違いますけどね。
いまさらうちの選手も会場どうこうでああだこうだ言うところもないですし、関西でのアドバンテージを活かして戦いたいと思います。
――最後にサポーターへ一言お願いします。
昨年度は悔しい思いをしましたし、それを経験した選手がチームにはたくさんいます。
JFL昇格に向けて、眼の前の一戦一戦をしっかり戦って、全員攻撃全員守備で一丸となって戦いたいです。
ご声援いただく皆さんにも力を貸してほしいですし、一緒に戦っていただければと思います。よろしくお願いします。
――ありがとうございました!楽しみにしています。
「終わった時、みんなで笑えるようにしたい」(田口選手)
高知ユナイテッドSCと福井ユナイテッドFCで地域サッカーチャンピオンズリーグを経験したドリブラー、田口遼選手は今回の大会に向けて以下のように話している。
――今日は途中出場から1ゴール1アシスト。チームも勝利しました。良い雰囲気ですね。
チームを強化するという点では、なかなか試合に絡めなかった選手も出場するなかで、引いている相手の守備をこじ開けることができました。いい経験になったと思います。
――ハードスケジュールのなかですが、体のキレも良さそうでした。地域CLにも何度も出ていますし、田口選手は慣れっこですかね?
そうですね(笑)。でも今年ほど公式戦の数が多かったシーズンもなかったですね。
なかなかハードではありましたが、いい経験ができています。
――地域CLでは古巣の福井ユナイテッドFCと対戦します。また昨年の全社でPK戦の末に敗れたBTOP北海道とも戦いますね。どんなイメージですか?
やっぱり福井ユナイテッドと対戦するのは楽しみですね。去年の雪辱を果たすことができるBTOPとの試合ももちろんです。そういう意味では、とても気合が入るグループですね。
――昨年よりは攻撃面で勝ちきれるようになった印象がありますが…。
攻撃面もそうですが、僕としては『粘り強い守備ができるようになった』と思っていて。
全社でも、守備陣がずっと我慢してくれるからこそ接戦を制することが出来ているという感じでした。そこが今年の強みだと思います。
今年の地域CLは全部勝って、1位で予選を通過して、大会を終えたときにみんなで笑えるようにしたいです。頑張ります!
――ありがとうございました、お疲れ様でした!
「和歌山の子どもたちをJリーグに繋げたい」(加藤選手)
そして、ファジアーノ岡山からおこしやす京都AC、ザスパクサツ群馬、ヴィアティン三重を経てアルテリーヴォ和歌山へとやってきた加藤健人選手は、全社と国体を怪我のため欠場。
地域サッカーチャンピオンズリーグに向けて「チームを外から見る」という経験を以下のように話してくれた。
――KSLアストエンジカップ決勝トーナメント進出おめでとうございます。いい形で地域CLに近づけますね。
関西サッカーリーグのチャンピオンとして臨んでいる大会なので、しっかり予選リーグを3連勝して決勝トーナメントに進めるのは良かったと思います。
――リーグを終えてからの1ヶ月半はいかがでした?
僕自身は怪我をしてしまって国体と全社に帯同できなかったんですけど、本当にチーム一人ひとりが役割を全うしていました。
全社では準優勝という結果を得られましたし、自信も高まったと思うので、これを地域チャンピオンズリーグに生かして今年こそ必ずJFLに昇格したいです。
――外からチームを見ていた経験も、それはそれで貴重だったのでは?
そうですね、これまでそれほど外から見る経験はなかったので。本当にみんな逞しかったですね。
全社の5連戦は映像で見ていたんですけど、誰一人力を抜かずにチームのために走って、逞しくなったと思います。誰が出てもいい状態にあるので、チーム力で上がっていきたいです。
――昨年とはどんな違いがありますか?
チーム内で話す機会が多くなりましたね。しっくり来ないことがあっても、話し合いをすることで次に向けて選手同士で改善ができるのが今年のいいところですね。
そこが結果に繋がっているんだと思います。
――地域CLでは去年の全社で戦ったBTOP北海道と同じグループですね。予選リーグのイメージは?
BTOPさんは去年の全社ベスト8で対戦して、PK戦で負けてしまったんです。後ろからビルドアップしてくるいいチームだと思うので、僕たちは後ろでしっかり守るのか、前からプレスをハメていくのか、しっかり話し合って臨みます。
地域CLに出てくるチームはどこもかなり力があると思うので、負けずに僕たちもやっていきたいです。
僕たちが和歌山に一日でも早くJFLのチームを作って、子どもたちのためにJリーグへと道を繋げていけるように。今年こそ絶対に昇格したいと思います!
――ありがとうございました!楽しみにしています。
アルテリーヴォ和歌山が戦うのは滋賀会場での3試合。10日は福井ユナイテッドFCと、11日はジョイフル本田つくばFCと、そして12日はBTOP北海道との対戦だ。キックオフはすべて午前10時45分となる。
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その試合はすべてYoutubeで放送される予定となっており、全国から無料で視聴することができる。JFLへの道を歩むチームたちの過酷な3試合を見逃すな。