沖縄・竹富町の「訪問税」は1人2千円に 年間100万人、人口の250倍の観光客が訪れる島々 オーバーツーリズム対策に

 沖縄県竹富町が導入を検討している訪問税(仮称)を巡り、町内外の有識者でつくる審議委員会(委員長・青木宗明神奈川大学教授)は9日、町内への来訪者から徴収する金額について「1人当たり2千円が妥当」と結論付けた。年間約100万人の来訪者を支える安定的な財源確保とともに、防災や持続可能な観光地づくりのために必要と判断した。年明けに住民説明会やパブリックコメントを実施し、最終的な取りまとめをして町に答申。町は議会での審議を経て、来年度以降の実現を目指す。(八重山支局・平良孝陽)

 竹富町が検討している訪問税は、使い道の自由度が高い「法定外普通税」。国内での導入例は、日本三景の一つで世界遺産・厳島神社がある宮島(広島県廿日市(はつかいち)市)のみ。宮島では1人当たり100円となっている。

 離島ターミナルがある石垣から町内離島への船賃は、最も安い石垣-竹富の往復1520円(大人)から石垣-波照間の往復7830円(同)まで7路線。訪問税は、船賃などに上乗せして徴収する方針。町民は対象外で、介護など住民生活に欠かせない目的での来訪者は割り引くことを検討している。

 竹富町の人口は約4千人で、年に人口の250倍超に当たる計約100万人が訪れる。港の整備やごみ処理などにかかる費用は年間約10億円。患者搬送やヘリポートの更新などの防災関連を含めた予算は計約20億円に上る。当初は1人当たり千円で試算していたが、行政サービスの費用は年々増加している。

 審議委員会の青木委員長は訪問税導入による観光への影響を踏まえつつ、財政難やオーバーツーリズムなどの持続可能な観光地づくりの課題を挙げ「将来的な投資が不可欠で2千円が妥当との結論に達した」と述べた。

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  訪問税 竹富町が導入を検討している「法定外普通税」。「法定外税」は地方税法に定める税目以外に、地方自治体が条例で新設した独自課税で、特定の費用に充てる「目的税」と、使い道が自由な「普通税」がある。広島県廿日市が今年10月から「普通税」として宮島を訪れる人から1人100円の徴収を始めた。

(資料写真)沖縄・竹富島の風景

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