【竹田】サフラン産地の竹田市で、出荷用めしべの収穫が始まった。朝晩の冷え込みが強まると開花し、農家は摘み取った花から赤いめしべを取って乾燥させる作業を続けている。同市は国内生産量の約8割を占めるが、収量は減少傾向。生産者は市を代表する産品の栽培継続に励んでいる。
市農政課などによると、同市では低温多湿の薄暗い部屋で棚に球根を並べて管理。この栽培法はめしべに有効成分が残りやすいという。めしべは料理のスパイスなどに使われる。
今年は竹田へサフランが持ち込まれて120年。60年ほど前に生産量が国内トップとなり、農家戸数が400を超えた時期もあった。生産者の高齢化や収穫期に人手が必要といった理由で新規参入にも課題があり、現在は約40戸にまで減少している。
JAおおいたを通じて乾燥めしべを出荷する約20戸は今年、昨年と同程度の約3キロを出し、出荷額は約100万円を見込む。
市内吉田の阿南順子さん(73)は球根約2万個を育てる。9日は友人3人と指先を黄色くしながら手際よくめしべを収穫した。
今年は例年より1週間ほど遅い今月3日ごろに花が咲き始めた。「夏の猛暑や10月の冷え込みが弱かったからでは。今後、順調に咲くか心配」と阿南さん。
栽培に携わって約50年。「生産量を増やそうと今年は例年より5千個ほど多く育てた。日本一を続けられるようにしたい」と話した。