男子サッカー部で鍛えたフィジカル 「サッカー選手になる」夢を現実に ノジマステラ笹井一愛

ノジマステラ神奈川相模原の笹井一愛

 女子サッカーが盛んな神奈川は、日本代表「なでしこジャパン」に多くの選手を輩出している。期待の若手、笹井一愛(ちなり)=ノジマステラ神奈川相模原=を訪ねた。

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 金色に輝くトロフィーを、表彰台の上で突き上げるイレブン。その姿を、笹井は羨望(せんぼう)のまなざしで見つめた。

 2011年7月17日(日本時間18日)、サッカー女子ワールドカップ(W杯)ドイツ大会決勝。日本はPK戦までもつれ込む激闘の末、強豪・米国を破り、初優勝に輝いた。

 「めちゃくちゃ強い米国に必死に食らいついて、負けている時も諦めず、最後まで点を取りにいった。本当にすごかった」

 当時、国際サッカー連盟(FIFA)ランキングは米国が1位で、日本は4位。世界トップを相手に躍動するなでしこたちが、小学2年だった笹井のヒーローになった。

 「私もサッカー選手になる」

 あれから11年、夢は現実のものとなる。22年10月、ノジマステラ神奈川相模原の下部組織からトップチームに昇格。第2節の広島戦でリーグデビューを果たす。第5節の仙台戦は後半出場ながら、果敢に前に出て、こぼれ球を押し込んだ。プロ初ゴール。学生時代の恩師らがスタンドで見守る中、仲間と抱き合った。

 「これまでで一番うれしいゴールだった」

 子どもの頃から、壁にぶつかるたび、あえて厳しい環境に身を置き、自らを追い込むことで乗り越えてきた。

 小学生時代は地元・横浜市緑区の常勝チーム「FCカルパ」でプレーし、中学進学後、ノジマステラの下部組織に所属。「ステラはみんなのレベルが高くて、なかなか試合に出られなかった」。自分を成長させるために、何かを変えるしかない-。学校の男子サッカー部に途中入部し、「ものすごい量を走り込んだ」

 入学時、150センチだった身長は、3年間で165センチを超えた。走り込みによって、ストライカーとして90分間戦えるフィジカルの強さも手に入れた。

 ◆ささい・ちなり 2004年、横浜市緑区出身。FCカルパ→ノジマステラ神奈川相模原アヴェニーレ→ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ→ノジマステラ神奈川相模原。地元で好きな場所は「霧が丘公園」。19歳。 

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