せきの症状緩和も――のどの不調に「はちみつコーヒー」

コーヒー1杯に対し、ティースプーン2杯のはちみつが目安(写真:アフロ)

11月に入って、朝晩の気温が下がってきた。空気が乾燥し、鼻やのどの粘膜を保護しているバリア機能が低下するため、ウイルス感染にさらなる警戒が必要だ。

「この時季おすすめしたいのが、はちみつを取ることです。はちみつには糖分のほか、ビタミン、ミネラルなどの栄養素や健康効果のあるポリフェノールなどが豊富に含まれており、抗菌・抗ウイルス作用もあります」

こう話すのは、食品医学研究所所長で医学博士の平柳要先生。はちみつの健康効果は、栄養補給、生活習慣病予防、ダイエット、認知機能改善、骨の強化など多岐にわたる。

「はちみつは、かぜをひいたときに回復を早める力があるのですが、せきや、のどの炎症を抑える効果もあります。また、コーヒーと一緒に取ることでその効果がさらにアップすることが明らかになっています」(平柳先生、以下同)

’13年にイランのバキヤタラ医科大学で行われた臨床研究では、せきの症状のある97人を、ステロイド薬を飲んだ群、去痰薬を飲んだ群、はちみつを加えたコーヒーを飲んだ群の3つに分け、2週間にわたり比較検討した。すると、せきの頻度のスコアはステロイド薬服用群で3.0→2.4、去痰薬服用群で2.8→2.7の改善を見せたのに対し、はちみつコーヒーを飲んだ群は2.9→0.2と、せきの症状がほぼなくなるという結果が得られたのだ。

「このデータを見たとき、はちみつにコーヒーを組み合わせることで効果がここまで高まるのかと驚きました」

朝やティータイムのコーヒーにも、気持ちをリラックスさせてくれるほか、健康効果がある。

「コーヒーには覚醒作用のあるカフェインが含まれており、交感神経を優位にする働きがあります。これが痛みの緩和や、呼吸をスムーズにする働きをします。もうひとつ『アラビノガラクタンタンパク質』とよばれる成分にせき止め、免疫調節などの作用があることがわかっています。これらがはちみつの効果と相乗的に働き、ウイルス感染の予防のほか、体調が悪いときの早めの対処に効果を発揮することが期待できそうです」

コーヒーにはちみつを足すだけで効果的なせき止めになるとあればぜひ取り入れたい。はちみつはどれくらい加えればよいのだろう。

「レギュラーコーヒー1杯に、はちみつをティースプーン2杯程度加えましょう。コーヒーはインスタントでもOK。糖分、カフェインの取りすぎにならないよう、1日に3杯程度がいいでしょう。薬には副作用もありますが、はちみつコーヒーにはその心配がありません。これからの季節は本当におすすめしたいですね」

毎日のはちみつコーヒーを、長引くせきの予防・改善に役立てよう。

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