関東最大級“ドーナツ形”集落「デーノタメ遺跡」特別展が大盛況 幅160メートル、人口増えて土器も変化 かなり前から学者間で高評価「遺跡が国の史跡相当だと言える日が来た」

「国指定史跡相当」の高評価もあり、人気を集める「デーノタメ遺跡特別展」=北本市役所1階庁舎ホール

 埼玉県北本市下石戸下地区にある縄文時代中~後期の「デーノタメ遺跡」が10月、文化庁から「国指定相当の埋蔵文化財第1期リスト」に選定され、発表された。選定の影響もあり、8日から北本市役所1階庁舎ホールで始まったデーノタメ遺跡の特別展は大盛況となっている。同展は21日まで。

 同遺跡は、約5千年前から3500年前にかけての縄文遺跡で、1500年にわたって縄文人が生活したとされている。縄文中期の集落は長さ210メートル、幅160メートルのドーナツ形で、関東最大級の環状集落と言われている。

 同市教育委員会の坂田敏行さん(43)は「デーノタメ遺跡は、集落と低湿地の水辺空間が縄文時代中期から後期にわたって残っていて貴重。低湿地からはクリやクルミ、ウルシなど、植物の種が残っている。赤と黒のウルシを塗った漆塗土器の破片も千点以上出土している」と話した。

 見どころは縄文土器。縄文中期(約4600年前)になると人口が増え、土器が大型化。直径50センチを超えるものも作られた。アズキやダイズの圧痕が確認された土器もある。漆塗土器の破片や再現した漆塗土器も展示。出土したクルミや種の本物もある。

 三宮幸雄市長は「デーノタメ遺跡は、学者の間でもかなり前から評価が高かった。市民や県民の皆さまに、堂々と胸を張って、遺跡が国の史跡相当なんだと言える日が来たと感じている」と話した。

 同展を訪れた坂戸市の小倉明美さん(50)は「デーノタメ遺跡の発掘の様子や、さまざまな縄文土器の本物を見ることができて良かった。土器にウルシやキラキラ光る金雲母を使っているのもすごい」と感激していた。

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